さまざまな世代の人に「TRPG観」を語ってもらう企画、第一回目です!
◆はじめに
はじめまして。ゲームクリエイター集団「冒険企画局」の古町みゆきと申します。紙とペンとサイコロで遊ぶTRPGというゲームが大好きで、仲間とワイワイ盛り上がりながら遊んだり、書籍の製作に関わったりしています。
長くなってしまうのでTRPGの説明は割愛しますが、興味があればぜひネットで調べてみてくださいね。
さて、TRPGは世代を超えて多くの人に愛されるゲームです。
コンベンション(*1)などに参加しても、50代のプレイヤーさんと学生のプレイヤーさんを同時に見かけることがあり、「テーブル内でどのくらい年齢差があるんだろう……」などと想像してしまいます。
これ自体はとても素晴らしいことですが、プレイヤーの年齢に開きが出ると、どうしても生まれてしまうのがジェネレーションギャップ。
とは言え、「最近の子は松田聖子を知らない」とか「おじさんはMixChannelを知らない」とか、その程度のジェネレーションギャップなら案外笑いに変えられるもの。
それよりも、同じテーブルの中でハッキリしがらみとして意識するズレは「TRPG観」ではないでしょうか。つまり、「TRPGをどんなゲームだと思っているか」「TRPGに何を求めているか」というようなことです。
先に明言しますが、筆者はそこに唯一無二の答えがあるとは思いません。また、あってほしくないと感じています。そこを絞ってしまうと、ゲームそのものの可能性も絞られますしね。
それを踏まえまして、「いろんな人たちに『TRPG観』を語ってもらい、その違いを検証してみよう!」というのが本コラムになります。いぇーい! 前置きが長い!
そしてその記念すべき第一回、「TRPG観」を語るのはなんと……古町です!(ばばーん)
あ、いえ、ちゃんと理由はあるんです。怒らないで。石を投げないで。
次回以降、色んな方々からお話を聞いて、筆者の目線で記事を書くわけですから、まず指標として知っていただく記事は必要かなと思ったんです。ええ。ほんとです。
何卒その点ご理解いただければ幸いです。
ということで、さっそくケース1をご覧ください。
◆ケース1 古町みゆき 20代後半男性・TRPG歴4年(2017年6月現在)
TRPGを遊び始めたのは2012年の12月頃。友人に「こういうゲームがあるんだけど、生放送で遊んでみない?」と誘われたのがきっかけでした。
筆者も友人もインターネット動画共有サービス「ニコニコ動画」が大好きで、普段から趣味で生放送などを行っていたため、TRPGとはその活動を経由してのファーストコンタクトになりました。
そこからはTRPGにのめり込むばかり。音声通話を使用した、いわゆるオンラインセッション(*2)が中心でした。ただ遊ぶだけでなく、その様子を生放送したり、動画にして投稿したり、同人誌を出してみたり、コンベンションを開いてみたり……ふだん無精者の筆者(休日ベッドから一歩も出ずに過ごすレベル)からは考えられないほど積極的に活動していました。
しかしここで改めて冷静に当時の自分を分析してみると、寂しかったのかもしれないなあ、という気がします。
当時24歳。社会がなんなのかわからないまま社会に出て、友達もうまく作れない。かつての学友はあちこちに進学・就職してしまい、遊ぶ予定も合わない。仕事も、覚えるのがせいいっぱいで、達成感ややり甲斐を得られる体験も少ない。
一方でオンラインセッションは、仲間と交流しながら、達成感ややり甲斐を手軽に得られる魅力的な存在でした。時間の制約も少なく、夜20時などからでも行うことができるため、一ヶ月のうちに20回のセッションを行ったこともあります。
筆者自身がTRPGに求めていたのは、きっと「役割を持ったポジション」だったのだと思います。盛り上げ役なら盛り上げ役として、ツッコミ役ならツッコミ役として。自分がグループに最大限貢献し、貢献のために努力できる場所を持つことで、何かに所属しているという安心感が欲しかったのでしょう。
悪く言えば青臭く、良く言えば若者らしい、TRPGとの距離感であったような気がします。
もちろん、同年代のすべてのプレイヤーがそうであると言い切るつもりはありませんが、筆者のように「ゲーム内の役割」を求めている20代のプレイヤーは少なくないように思います。
……うーん、なんだか思っていた以上に社会派な記事になってしまったぞ。
たぶん筆者が一番ビックリしています。
ということで、ケース1をまとめるとこうなります。
・20代後半男性、TRPG歴4年。
・ニコニコ動画からTRPGを知った比較的最近の層
・セッションはオンラインが中心
・動画や生放送によって遊んでいる様子を共有
・TRPGには役割とその達成を求めている
◆おわりに
さて、いかがでしたでしょうか。今回は筆者である古町の記事を書いてみましたが、とりあえず第三回くらいまで、色んな人の話を聞きながら書いてみようと思っています。好評ならもう少し続いたりするかもしれません。よろしくお願いいたします。
なお、次回は女性の学生さんにお話を聞いてみるつもりです。10代が見つかればベスト。見つからなかったらごめんなさい。
コンベンションの半分が女性で埋め尽くされたり、女性オンリーコンベンションが開催されたり、そんな事例が珍しくなくなった今日このごろ。
「女の子のTRPGプレイヤーって実在するの……?」「都市伝説でしょ……?」なんて言っていられませんよ!
ではまた、次の記事で!
*1 プレイヤーが一つの会場に集合し、複数用意されたテーブルでそれぞれTRPGを遊ぶ催し。
*2 元々はチャットで会話するものをこう呼んだが、skypeやLINEをはじめとした無料の音声通話ツールが普及してからは音声通話を利用したオンラインセッションが多く見られるようになった。
両者を区別するために「テキストセッション(テキセ)」「ボイスセッション(ボイセ)」と呼び分けることもある。