2018年は新暦の7月13日から8月10日が、旧暦の6月にあたります。
古来より日本では、旧暦の6月に大祓(おおはらえ)という儀式が行われてきました。半年間の罪や穢れを取り除くため、年2回行われる神事です。
『図解 巫女』(朱鷺田祐介 著)では、旧暦6月に行われる
今回は、本格的な夏を迎える前に知っておきたい「夏越しの大祓」にまつわる神事についてお話しましょう。
目次
夏越の大祓~罪や穢れを洗い清めよ~
夏越の大祓とは、旧暦の6月末日に行われている神事です。
大祓は、1年間に2回行われており、12月の晦日には師走の大祓という神事があります。
これには、人が知らないうちに犯してしまう罪や穢れを洗い清め、災厄を取り除く意味があります。
夏越しの大祓では疫病が広まりやすい夏に、心身を祓い清め、病気をしないようにするため「茅の輪くぐり」という神事が行われます。「茅の輪くぐり」に使われている「茅(ちがや)」とはイネ科の植物で、利尿消炎作用がある薬草なのです。
茅の輪くぐりの方法をご紹介しましょう。
まずは、
水無月の夏越しのお祓いをする人はちとせの命のぶというなり
と唱えながら、茅の輪を正面からくぐり右に回ります。
それからまた茅の輪を正面からくぐり、左に回ります。
そして∞の字を描きながら3回茅の輪を回り、拝殿に向かいます。
こうすることで、心身の罪穢れを祓い、病気に負けないような力をいただくのです。
夏越の大祓は、名越、六月祓(みなづきはらえ)、荒和の祓(あらにごのはらえ)ともよばれています。形代(かたしろ)に穢れをうつし、川や海に流したり、家畜の病気が流行らないように牛馬を海につれていったりする地域もあるようです。
罪や穢れを清め、病気が流行らないようにと祈る気持ちは皆同じなのですね。
茅の輪くぐりの由来を探る! スサノオとの関係
茅の輪くぐりは神代の故事によるもので、スサノオが関係しています。
スサノオとは行疫神である牛頭天王(ごずてんのう)や武塔神(むとうのかみ)と同一とも言われています。
『備後国風土記(びんごのくにふどき)』によると、スサノオは旅の途中、蘇民将来(そみんしょうらい)と巨旦将来(こたんしょうらい)という兄弟に泊めてほしいと頼みました。兄の蘇民将来は貧しく、弟の巨旦将来は裕福でした。お金持ちの巨旦将来はスサノオの申し出を断り、貧しい蘇民将来はスサノオをもてなしました。
スサノオはお礼に蘇民将来に悪病退散の茅の輪の作り方を教え、小さな茅の輪を腰につけさせました。その年、スサノオが疫病を流行らせ、蘇民一家以外は亡くなってしまったそうです。
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ライターからひとこと
本格的な夏もすぐそこ。夏といえば、夏祭りも楽しみの一つですね。スサノオを祭っている祇園神社、津島神社、八坂神社では祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)を旧暦の6月末である7月に行います。御霊会は次第に「夏越の大祓」と習合し、都市型の夏祭りとなっていきました。 夏祭りに行くときは、ぜひ本書の夏越の大祓を思い出してください。