Gaia
原初の女神ガイアと世界のはじまり

ギリシア神話といえば、主神ゼウスを中心にアポロン、アルテミスなど幾多の神々や英雄が活躍しますが、実は最初からゼウスが世界を支配していたわけではありません。
ギリシア神話の中で最初に誕生した神、ガイアをご紹介しましょう。
【ガイアのプロフィール】
・宇宙に最初に生まれたのが、大地の女神ガイア。
・同時期に、タルタロス(冥界)、ニュクス(夜)、エレボス(暗黒)、エロス(愛)も生まれる。
・ガイア、ウラノス(天)とポントス(海洋)を生み出す。
世界の始まりについては諸説ありますが、詩人ヘシオドスによれば、最初、宇宙は曖昧でもやもやとしていて何もない世界だったといいます。
そんな宇宙に最初に誕生したのが、大地の女神ガイアです。さらに同時期、冥界神タルタロス、夜を司る神ニュクス、暗黒神エレボス、愛の神エロスなども生まれます。
さらにガイアが自分ひとりだけで天を司る神ウラノスと、海洋の神ポントスを生み出し、世界の形が整いました。
ガイアの結婚と神々の誕生
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やがてガイアは自らの子ウラノスと結婚し、ウラノスが世界を支配することが決まります。
ふたりの間には合計12人の神々が生まれました。
【ガイアとウラノスの子どもたち】
・ティタン(6人の神たち)
=オケアノス、コイオス、クレイオス、ヒュペリオン、イアペトス、クロノス
・ティタニス(6人の女神たち)
=ティア、レア、テミス、ムネモシュネ、ポイベ、テテュス
ところがこの後、ガイアとウラノスの間には、ヘカトンケイルという100本の腕を持つ怪物3人と、キュクロプスというひとつ目の怪物3人も生まれます。
父のウラノスはこれらの怪物を嫌い、生まれるとすぐにタルタロス(冥界)の底へと投げ込んでしまいました。
母であるガイアには、ウラノスのこの行為が許せません。たとえ怪物でも、自分の可愛い子どもであることに変わりはないからです。
そこでガイアは6人のティタンを説得し、ウラノスに復讐することを決めました。
実行役となったのは、ティタンの中で末っ子のクロノスです。彼は母ガイアから大鎌を受け取ると、夜陰に乗じて父ウラノスを襲撃しました。こうしてウラノスは失脚し、クロノスが世界を支配するようになったのです。
ガイアはその後も、クロノスの子ゼウスの時代がやって来るまでの間、神々の世界で大きな影響力を持ち続けます。彼女は世界の支配者にこそなりませんでしたが、ギリシア神話の初期世界を陰で動かした女神だったのです。