Atlas
両肩で天球を支えている神・アトラス

地図帳のことを英語でアトラスといいますが、アトラスとは元はギリシア神話に登場する神の名前です。
今回はアトラスにまつわるエピソードをご紹介しましょう。
【アトラスのプロフィール】
・ティタン神族の一員。
・兄弟には人間を創造したプロメテウスなどがいる。
・両肩で天球を支えている。
アトラスはティタン神族の一員です。ティタン神族とは世界を最初に支配したウラノスとガイアの子どもたち(ティタン神)とその子孫のことをいいます。
アトラスはその両肩で、無数の星々が輝く天球を支え続けています。どうしてそんなことになったのか、ひとつのエピソードをご紹介しましょう。
ゼウスの兄弟たちがティタン神と戦った時、アトラスは自らの先祖であるティタン神の味方をします。
ところがゼウスが戦いに勝利したため、アトラスは罰として両肩で天球を支え続けることになりました。
それからはるか後の時代。英雄ヘラクレスが黄金のリンゴを求め、世界の西の果てにあるヘスペリスの園へとやって来ます。
黄金のリンゴを守る女神ヘスペリスたちはアトラスの娘だったため、アトラスはヘラクレスに、自分がリンゴを取って来るので、その間、代わりに天球を支えてくれないかと提案しました。
アトラスにとって、これは刑罰から逃れられるチャンスです。リンゴを取って来た後も、ヘラクレスに支えさせた天球を再び引き受けようとはしません。
困ったヘラクレスはひとつの作戦を思いつきます。天球を支える仕事を引き受けるふりをして、円座を頭の上に載せる間、自分の代わりに天球をちょっと支えてくれないかと頼んだのです。
アトラスはまんまとこの作戦に引っ掛かりました。彼はほんの少しの間のつもりで再び天球を支えましたが、ヘラクレスはもう2度と彼に代わろうとはしません。
こうしてアトラスは永遠に両肩で天球を支え続けることとなったのです。