『ダンジョンズ&ドラゴンズ スターター・セット』に収録されている「ファンデルヴァーの失われた鉱山」とベーシック・ルールを使い、D&Dをはじめてみるお話の続きをしよう。
「スターター・セット」の内容については本連載の第19回を参照すると、より分かりやすいだろう。戦闘については、ネヴァーウィンターにつづきファンダリンについて述べたうえで次回、紹介する。
■ホームタウンとなるファンダリン
「ファンデルヴァーの失われた鉱山」の「パート2:ファンダリン」には、プレイヤーたちに見せても良い町の地図と、主な建物と住人が紹介されている。
ファンダリンには、宿屋、各種の店舗、社(やしろ)などがあって、それらの住人は、ノン・プレイヤー・キャラクター(以降"NPC")として名前、種族、ひととなりなどが設定され、説明されている。PCたちがNPCたちと情報交換や交流をしたり、宿屋で隣のテーブルから聞こえる噂話を耳にするといったことから、現在の村の状況や困っていること、村の誰かが冒険者に依頼をしたがっている、といったことに出会うことになる。
名前のついているNPCたちは、多くが冒険に関する話をしてくれたり、それなりの立場にいる人物は仕事の依頼をしてきたり、属する団体への勧誘をしてきたりもする。
「ファンダリンのNPCたちをロールプレイする」という項目には、NPC運用のヒントが述べられている。だが、演技はせずにNPCのセリフを読んだり、端的にNPCがどのようなことを話すのかを説明するだけでも、アドベンチャーを進めることはできる。
DMは「パート2:ファンダリン」を通して読み、頭に入れてしまえばセッションがスピーディーに進むだろう。とはいえ、セッションの中の時々に参照して読んだり、読み上げてもよい。
NPCをどのように操作するかという指針も書いてあるし、PCが利用する施設もそろっていて、「ファンデルヴァーの失われた鉱山」を遊び終わったのちにも、PCたちのホームタウンとして使っていくこともできる(といったことも、書いてある)。
ファンダリンでも、前回までのネヴァーウィンターにおける依頼を説明されたりする場面においても、実際のセッションには、A4程度のサイズのホワイトボードとマーカーがあると良い。真剣なプレイヤーは、人名や場所の名称と情報を一所懸命にメモするが、カタカナの凝った氏名などは、声では正確に伝わらないことが、ままある。書き消し自在なボードで、字面を見せたほうが容易につたわる(タブレットで、手書きができるペイント系のアプリを使ってもよい)。
いよいよファンダリンに向かうには、ネヴァーウィンターから4~5日の道程となる。
必要な食糧などをネヴァーウィンターで調達が必要として、プレイヤーたちにベーシック・ルールの「第5章:装備」を参照して買い物を楽しんでもらってもよし、距離と時間を計って旅の計画を立ててもらっても良い(ベーシック・ルール プレイヤー向け P.66 「移動のペース」参照)。
あるいは前回述べたように、細かい手間は飛ばしても良い。
ただしPCたちがファンダリンへ向かう途中には、アドベンチャーで必要とする戦闘遭遇が待ち構えている。実際にPCたちがファンダリンへ着くのは、この最初の障害を乗り越えてからとなる。
次回は、その最初の戦闘遭遇を材料に、ダイス、筆記用具以外の用具などを含め、セッションの準備について紹介する。
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