ガブリエルやウリエル、ラファエルと並び、大天使ミカエルといえば誰もが一度は聞いたことがある天使ではないでしょうか。
今回は大天使ミカエルの姿や役割などをご紹介します。
目次
大天使ミカエルってどんな天使?
- 元々は紀元前7世紀頃のカルデア人たちの神。
- ユダヤ教、キリスト教、イスラム教に登場。
- キリスト教などでは天使軍団の最高指揮官とされ、「神に似た者」の称号を持つ。
- 悪魔サタンの双子の兄弟。
ミカエルは元々、紀元前7世紀頃のカルデア人たちの神でした。
カルデア人とは、紀元前612年にアッシリア帝国を滅ぼして新バビロニア帝国を建て、首都バビロンを中心におおいに繁栄した人々です。
その後、ミカエルの存在はユダヤ教やキリスト教、イスラム教世界へと引き継がれます。
教義によって描かれ方は異なりますが、ユダヤ教、キリスト教などでは「神に似た者」の称号を持ち、天使軍団の最高指揮官として、神の片腕的存在となりました。
そんなミカエルですが、実は悪魔サタンの双子の兄弟とされています。
17世紀イギリスの詩人ミルトンが記した叙事詩『失楽園』には、天使の3分の1を引き連れ神に謀反を企てたサタンに対し、ミカエル率いる天使軍が壮絶な戦いを挑む様子が描かれています。
大天使ミカエルの役割とは
ミカエルが天使軍団の最高司令官であり、悪魔サタンと激しい戦いを繰り広げたことは前項でもお伝えしました。
実はミカエルにはもうひとつ、大きな役割があります。
それは最後の審判の日にラッパを吹き鳴らし、人間の魂を秤にかけることです。
最後の審判当日、サタンは人間の罪を告白し、ミカエルは人間の弁護人を務めるといわれています。
ミカエルは最後の審判の日だけでなく、毎日のように死者の魂が天国に行くべきかどうか、秤を使って判断していました。ただしこの役割は、後に天使サリエルに譲られることとなりました。
ミカエルはまた、人類の祖、アダムとエヴァとも関わりがあります。エデンの園に生えていた知識の木から禁断の実を食べてしまったふたりを、神の命令で楽園から追放したのです。
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宗教によって全然違う! ミカエルの姿とは
ミカエルはどんな姿をした天使なのでしょう?
宗教や思想によって、ミカエルはさまざまな姿をしているようです。
【キリスト教のミカエル】
・美しい青年の姿をしている。
・鎧を身にまとい、剣や秤を持った雄々しい姿をしている。
キリスト教美術のミカエルは、前項まででご紹介したような勇壮な姿で描かれます。
【イスラム世界のミカエル】
・名前はミーカーイル。
・エメラルド色の翼に燃えるようなサフラン色の髪。
・髪の毛1本1本に100万の顔と口がついている。
イスラム世界のミカエルは「ミーカーイル」と呼ばれ、キリスト教美術とはかなり異なる姿をしていると考えられていました。
ミーカーイルはエメラルド色の翼を持ち、髪は燃えるようなサフラン色をしています。
その髪の毛1本1本に100万の顔と口があり、それぞれの口からはアッラーによる免罪を懇願するための100万の言葉がほとばしっているのです。
【カバラ思想のミカエル】
・1881年から2235年まで地球を支配し、さまざまな地上の出来事に影響を与える。
・太陽に住み、球形をしていて金白色に輝き、4つの神秘的なエネルギーを発している。
カバラ思想とはユダヤ教神秘主義、密教的教義のことで、15世紀以降のキリスト教社会に大きな影響を与え、フリーメイソンなどの秘密結社の思想的背景にもなりました。
15世紀頃にカバリスト(カバラ思想の信奉者)や魔術師たちが秘蔵した書物には、「セクンダディ」という言葉がみられます。
これは、7大天使(ザフキル、ザドキエル、カマエル、ミカエル、アナエル、ラファエル、ガブリエル)が順番に地球を支配し、それぞれの所属する惑星の影響を地上にもたらすという考え方です。
この思想に基づくと、ミカエルは1881年から2235年まで地球を支配し、さまざまな地上の出来事に影響を与えるといいます。
カバリストたちの描くミカエルは人間の姿をしていません。ミカエルは太陽に住む球形の存在で、金白色に輝いており、小さな太陽のようにエネルギーを発しているというのです。
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