突然ですが、悪魔はどんな姿をしていると思いますか? 人のような姿をしていて、いかにも邪悪そうなツノや翼が生えているイメージでしょうか。
実は悪魔はさまざまな姿をしており、中には蝿のような姿で描かれるものもあります。今回はそんな悪魔ベルゼブブをご紹介しましょう。
目次
悪魔ベルゼブブが誕生したワケ
【ベルゼブブってどんな悪魔?】
- 元はカナン人が崇拝していた神「バアル・ゼブル(至高の王)」。
- 旧約聖書時代にユダヤ人が「バアル・ゼブブ(蝿の王)」と言い換える。
- 新約聖書時代にはサタンと同一視され、以降も高位の悪魔とされ続けた。
ベルゼブブは最初から悪魔だったわけではありません。元はカナン人たちが崇拝していた神で、「バアル・ゼブル(至高の王)」と呼ばれていました。
ところが、旧約聖書時代のユダヤ人たちは、異教の神だったこの「バアル・ゼブル」を、ヘブライ語で「バアル・ゼブブ(蝿の王)」と呼び換えてしまいます。
さらに新約聖書の時代になると、「バアル・ゼブブ」は「ベルゼブル」「ベルゼブブ」などと呼ばれ、「悪霊の王」としてサタンと同一視されるようになりました。こうして悪魔ベルゼブブが誕生したのです。
ベルゼブブ、高位の悪魔としてすっかり定着
新約聖書の時代以降も、ベルゼブブは高位の悪魔としてさまざまな作品に描かれ続けます。その中から主なものをご紹介しましょう。
・『ソロモン王の遺言』(1~3世紀頃)
ベルゼブブが悪霊の支配者として登場。
・新約聖書外典『ニコデモ福音書』(5世紀)
ベルゼブブは地獄の王サタンと同一視されている。
・ダンテ『神曲』(14世紀)
地獄篇に登場する悪霊たちの頭領ルシファーは、サタン、ベルゼブブとも呼ばれている。
・ミルトンの叙事詩『失楽園』(17世紀)
反逆天使(悪魔)としてベルゼブブが登場。サタンの忠実な部下であり親友で、サタンに次ぐ地獄界第2位の悪魔とされている。
・コラン・ド・ブランシー『地獄の辞典』(第6版)(19世紀)
画家M・L・ブルトンが挿絵の中でベルゼブブの姿を描いている。膨れ上がった青紫色の蝿のような姿で、羽根には頭蓋骨の紋章が刻まれていた。
ベルゼブブが悪霊の支配者として登場。
・新約聖書外典『ニコデモ福音書』(5世紀)
ベルゼブブは地獄の王サタンと同一視されている。
・ダンテ『神曲』(14世紀)
地獄篇に登場する悪霊たちの頭領ルシファーは、サタン、ベルゼブブとも呼ばれている。
・ミルトンの叙事詩『失楽園』(17世紀)
反逆天使(悪魔)としてベルゼブブが登場。サタンの忠実な部下であり親友で、サタンに次ぐ地獄界第2位の悪魔とされている。
・コラン・ド・ブランシー『地獄の辞典』(第6版)(19世紀)
画家M・L・ブルトンが挿絵の中でベルゼブブの姿を描いている。膨れ上がった青紫色の蝿のような姿で、羽根には頭蓋骨の紋章が刻まれていた。
このように、新約聖書以降の時代、ベルゼブブは高位の悪魔として定着し、長い間さまざまな作品に描かれ続けてきました。
中でも『地獄の辞典』の挿絵として描かれた蝿のような姿のベルゼブブは、その強い視覚的効果から、典型的なベルゼブブのイメージとしてすっかり定着しています。
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