救難信号はなんとか送った。さあ、救援場所まで辿り着いて惑星から逃げ出せ!
メンバー紹介
【調査隊】:蝉川、東雲、紅葉、奏蝉川夏哉……『異世界居酒屋「のぶ」』(宝島社)の作者。本ゲームでは巻き込まれ性能が高い。
東雲佑……『図書館ドラゴンは火を吹かない』(宝島社)の作者。担当のよしみでエイリアンにつけ狙われる。
いろは紅葉……ときどき第六感を働かせるふしぎな人。みんなの友達。
奏……『逆鱗のハルト』(新紀元社)の作者。本ゲームのリプレイ担当。
【エイリアン】重岡
パンタポルタを運営する新紀元社社員。連載小説『作家と学ぶ異類婚姻譚』で東雲の担当をしている。
【GM】岡田
東雲と蝉川の担当編集。ボードゲームが好きらしい。
ストーリー
時は25世紀。古い記録を調査しているうちに、消された惑星の情報を発見した。興味をそそられた私たちは遠征隊を組織し、宇宙船に乗って調査に出た。
ところが、予期せぬエンジントラブルで惑星アルテミアへと不時着することに。
この星でどんな危険が待っているのか……期待と不安が胸のなかで渦巻く。
◇◇◇
蝉川:(低い声)その星に降り立ったものは、彼らと同じように星に取り込まれてしまうという。
奏:――って、それ私たち取り込まれる前提じゃないですかッ!
蝉川:星の名前はアルテミアだからね。イアは地名を表すから、アルテミスの星。つまり狩猟の神の星なんだよ。
そんなわけで、私たちサバイバルは始まった。
やることは簡単。調査隊の私たちは1~5番の地形から好きな場所を選んで探索するだけ。探索した場所の効果によっては新しい探索場所が開示されたりするんだけど、エイリアン(命名・エイリアンゲオカ)が1~2カ所……ときには3カ所を狙って攻撃してくるのだ。
調査隊はカードの効果やターン進行で救援マーカーを進めていく。エイリアンは探査隊を捕まえるか意志カウンターをゼロにすれば同化マーカーを進める。先に中央へマーカーを運べたほうが勝利。どこを探索するか探り合う、心理戦が始まる!
命を賭けたかくれんぼ 開幕!
蝉川:私たちはまだ自分の意志がある。しかしこれがエイリアンに取り込まれていくことで薄くなり……。
東雲:そんなロールプレイもあんの? 許せねぇなゲオカ!
エイリアン:なんですかそのとばっちりは……。
まずは探索したい地形のカードを自分の前に伏せていく。
奏:私、いきなり皆を助けてあげましょう。じゃんじゃじゃーん(「サバイバルカード:犠牲」を使用!)。
サバイバルカードは、調査隊がエイリアンの攻撃から生き残るチャンスをつくるための特殊カード。最初はひとり1枚持っているのだ。各カードには、カード能力と使用できるタイミングが記されている。
紅葉:『手札を1枚捨てることで、そのターン、エイリアンは襲撃カードをプレイすることができない』だって!
東雲:すげー! じゃあ俺3番にする!
GM:……エイリアン・マーカーは置けるから気を付けて。
奏:……えっ、そうなんですか?
エイリアンはエイリアン・マーカーを地形カードの上に配置することができ、これに捕まったプレイヤーは意志カウンター(ヒットポイント的なもの)を1個失い、タイムリミットを示す同化マーカーがひとつ進む。
蝉川:つまり、ここで東雲先生が迂闊な場所を選ぶと危険ですね。
東雲:いや、待って。でも3番選ぶと次のターンは2枚置けるんだよね?
エイリアン:むむ、そう聞くと3は阻止したくなるな……(3番にマーカーをスッ)
GM:ではオープン。ほほう、よく騙しましたね。
奏・東雲→地形カード5番
紅葉・蝉川→地形カード4番
紅葉・蝉川→地形カード4番
GM:奏先生と東雲先生は地形の効果により、新しい探索場所を1カ所増やせます。まだ持っていない地形カードを1枚選んで受け取ってください。
奏:「探索したら救援場所に1歩近づく」って効果のある8番のカードにしますー。
東雲:じゃあ奏さんと違うところ……7番にする。サバイバルカードを引けるやつ。
GM:紅葉先生と蝉川先生は4番の「充電場所」ですので、この充電に誰かがもう1回到達できれば救援場所に1歩近づけます。……ちなみに、ターン終了後は自動で1歩進みますよ。
奏:あ、誰かを蹴落としながら進むゲームじゃないんだ……。
GM:協力するゲームですよ!?
あはは……てっきり仲間を犠牲に生き残るゲームかと思った。
蝉川:ということは、次はこの4番がエイリアンに狙われる可能性があるってことですね。
GM:はい。次のターン。
エイリアン:じゃあ3番に「襲撃カード:悲鳴」を使います。襲撃された人は意志ひとつか手札2枚を強制で捨ててくださいね。で、エイリアン・マーカーは1番に。
襲撃カードは、エイリアンが調査員を攻撃し、惑星に同化させるために使う特殊カード。エイリアンは毎ターンに1枚まで襲撃カードをプレイできる。
GM:はい。では手札オープン!
東雲・蝉川→地形カード3番
紅葉→地形カード5番
奏→地形カード1番
紅葉→地形カード5番
奏→地形カード1番
東雲:ゆるさねぇゲオカアアァァ!
GM:命か手札捨ててくださいね。
東雲:ちょっと! 命じゃなくて意志だよね!? 手札捨てるに決まってるじゃんか!
蝉川:さりげなく私も……手札捨てます。
私のいた1番の地形は、エイリアン・マーカーの置かれた場所の効果を発動できるか、捨て札をすべて回収できるという素敵仕様だった。
奏:エイリアン・マーカーは4番の充電場所に置かれているから……ここの効果をコピーして発動します! 皆のために、進めますよー。
GM:はい、ターン終了。次は皆さんどの地形にいきますか? ……はい、いいですね。
エイリアン:ここで「襲撃カード:力場」を使います。ターゲット・マーカーを2カ所にまたがって置くことができて、両方の地形効果を打ち消します。1番2番は使えなくなりました。エイリアン・マーカーは……えっと、5番に。
東雲:…………ちょっと待って。ターゲット・マーカー……。誰か! ターゲット・マーカー消して! ねえ、誰か!
蝉川:「サバイバルカード:回避」を使って、5番のエイリアン・マーカー消します。
東雲:ターゲット・マーカーは!?
GM:では皆オープンです。
東雲:無視!?
奏→地形カード4番
東雲→地形カード1番
蝉川・紅葉→地形カード5番
東雲→地形カード1番
蝉川・紅葉→地形カード5番
奏:私は4番なので充電しまーす。誰か次よろしくね!
紅葉:しれっと5番だったので助かりました。
蝉川:東雲先生残念でしたね。
東雲:……手札なくなった人どうすんの?
GM:「抵抗する」を選べば、意志をひとつ消費して捨て札から2枚戻せますよ。さ、次のターンです。
そろそろどこの地域に行くか迷うところ。ここでGMの岡田さんが「そろそろみんなで相談してもいいんじゃない?」と言ってくれたんだけど。
(このゲーム、プレイヤー同士は相談しながら探索場所を決めることができるのだが、相談はすべてエイリアンに聞こえるようにしなければならないのだ!)
東雲:じゃあ俺4番行く。
紅葉:捨て札にあるから行けないよ……?
GM:エイリアンがポンコツならひっかかりますよ。
エイリアン:ちゃんと見てますよ!
蝉川:じゃあ私が4番行きましょう。こう言っておいて1番にということもありえます。
東雲:ちょっ、待って、俺変えるから。待って。
奏:……私たち協調性ないですね。
エイリアン:今回はエイリアン・マーカーだけにします。1番。
GM:ではオープン。
蝉川:……1番。
GM:つかまりましたね! 意志を2個失いますのでギブアップせざるを得ません。同化も1歩進みます。蝉川先生は復活し、手札もすべて元に戻ります。
蝉川:同化だけにどうかしてるぜ!
エイリアン:私はこのターンの最後に「襲撃カード:追跡」発動。次のターンは襲撃カードを2枚プレイできちゃいます。
GM:じゃあ次ですね。……はい、置いたね。
エイリアン:襲撃カードの効果で、隣接する2番と7番にアルテミア・マーカーを置きます。そして5番にエイリアン・マーカーです。
アルテミア・マーカーに捕まった調査員は手札を1枚捨て山に移す。また、その地形効果は無効となる。
紅葉:じゃあ私は「サバイバルカード:探知機」を使って2番と7番のアルテミア・マーカーを消します。
GM:はい。ではオープンです。
奏→地形カード2番
紅葉→地形カード7番
東雲・蝉川→地形カード5番
紅葉→地形カード7番
東雲・蝉川→地形カード5番
奏:た、助かった~!
東雲:ファーッ!
蝉川:……私も5番……。
GM:捕まりましたので、ふたりは意志をひとつ失います。
東雲:なんかさーエイリアンが俺狙ってるんだけどさ、蝉川先生が俺と同じ場所に置いてるから巻き込まれてるよね。
奏:相談とかしないですもんね……。
◇◇◇
こんな感じで後半戦に突入。ここからはアルテミア・マーカーが毎回使用される仕様だ。
エイリアン:「襲撃カード:覇権」いきます。指定された人は手札を2枚残してあとは捨ててもらいます。……東雲先生?
東雲:おい! おいーッ!
奏:ふたりとも仲良しだね。
この間に、裏で(岡田)「蝉川先生は、担当がおじさんだってちょいちょいディスってきますよね」(蝉川)「いやいや、さらに年上の私はどうなるのって話ですよ。しかも毎年誕生日にお酒送ってるじゃないですか」(岡田)「あれはいいお酒(ラガヴーリン16年)ですね、ありがとうございます」という会話がなされているのがしっかり録音されていた。
GM:はい、では皆さんどこに行きますか。……決めましたね?
エイリアン:アルテミア・マーカーが9番、エイリアン・マーカーは3番にします。
GM:アルテミア・マーカー打ち消せる人はいませんか?
東雲:んー。いいかな、消さなくても!(消せるカードを持ってるらしい)
GM:ではオープン。……あらら。
紅葉:アルテミア・マーカーくらいました……。
蝉川:ははぁ。助けてもらえなかったですね。
奏:あーかわいそう~。
東雲:ちょっと! もっとさあ、こうさあ、目で訴えてよ!
GM:あと3歩で救援場所ですね。エイリアンは4歩あるから……ちょっとリードですよ。はい、伏せてください。
全員、なんの相談もせず無言でカードを伏せる。相変わらず協調性のない仲間たちである。
エイリアン:アルテミア・マーカーを4番、エイリアン・マーカーは2番です。
GM:オープン!
奏:あああ! つかまった……! ギブアップしないといけなので2歩進まれちゃいます!
東雲:俺3番~♪
エイリアン:あ、ここで「襲撃カード:大洪水」使います。任意の番号の効果を打ち消すので3番を。
東雲:てめぇ! いつも……ッ!
ここで、蝉川先生は手札が少なかったのでギブアップを選択し、選べる地形の選択肢を増やすことにする。エイリアンがあと1歩、私たちは2歩で勝ちの距離。
GM:ここで抵抗して手札2枚増やしておくといいかもですね。
紅葉:じゃあ抵抗します。
東雲:俺も!
いよいよ最終決戦が近い。私たちはカードを伏せた。
エイリアン:アルテミア・マーカーを8番。エイリアン・マーカーは3番に。
GM:オープン! ……これは……誰も捕まってない!? まさかの最後まで持ち越しパティーンです。
ほっと胸をなでおろす。次のターンで捕まらなければ、地球に帰れる!
震える手で、カードを伏せる。
エイリアン:アルテミア・マーカーが5番、エイリアン・マーカーは3番、です! 襲撃カードは皆さんが開いたそのあとに使います。
GM:では……オープン!
奏:捕まっちゃいましたああああ! ごめんなさいいいいいいい。
東雲・蝉川・紅葉:あああああああ!(絶叫)
GM:残念! ぎりぎりで救援はならずー!
蝉川:絶望が私たちを包み……やがてその意識は統一されて……。
――こうして、私たちはエイリアンゲオカに取り込まれ、新たなる来訪者を、いまかいまかと待ち受けている。
さあ、あなたもアルテミアに、仲間を探しに来ませんか……。
……というゲームでした。
◇遊んだゲーム
凶星のデストラップ 完全日本語版
プレイヤーの1人はエイリアン役となり、残りのプレイヤーは遭難した人間役となる。エイリアンは人間たちを狩ろうとし、人間は話し合ってエイリアンに対抗する行動を決めようとする……しかし、その会話はエイリアンに聞こえるよう、行わねばならない!
販売元:ArclightGames