「うちのファンタジー世界の考察」とは、「いわゆるファンタジー世界と呼ばれるもの全般」を対象に、著者である小林裕也さんの知識と妄想をごちゃまぜにして、「イラストコラムとしたもの」です。
橋というのは、こちらと向こう岸をつなぐもの――すなわち、2つの隔たった世界を結ぶ「ゲート」でもあった。実際、川は火事や病気の伝播、そして戦さえも遮ることができる「結界」であり、橋はそこを自由に行き来できる、道路以上の存在だった。
橋は一種の「密室」ね。逃げ場があるように見えて、実際はかなりの閉鎖空間である。川に飛び込むという手もあるけど、それはそれで恐怖だろうし。もちろん、元来た方へ戻ることはできるが、そもそも橋を渡る者は向こう岸に生きたいからであって戻っちゃ話にならないし。
かくしてバケモノは橋で待ち伏せし、渡ってくるエモノを狩っているのであった。
ちなみに「たそがれ時」は日没の薄暮だけを指し、夜明けの薄明の時間は「かたわれ時」という。薄暗くて遠くが見にくいため、向こうからやって来る人を見て「誰そ彼?」と尋ねる言葉が語源。「かわたれ時」は「彼は誰?」の意味だ。
「うちのファンタジー世界の考察」
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次回は9月28日に「橋②」を公開予定です♪
※書籍に掲載されている順番とは異なります。
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