この連載もありがたくも、次回で30回を数える。これを機会に「ファンタジーRPG入門」に立ち返り、具体的な入門の手引きを提供しよう。
その前に、D&Dの基本的な判定方法について紹介しておく。
D&Dのゲーム中における行為の成功/失敗の判定は、基本は20面ダイス(d20)を1つ振って、キャラクター・シートに計算しておいた修正値を足し算する。
場面によってはDMからボーナスやペナルティが加えられたりするが、非戦闘時の能力値判定(能力や技能での判定)、抵抗すべき場面でのセーヴィング・スロー、戦闘中の攻撃や呪文の成功/失敗に関する判定とも1d20(20面ダイスを1つ)である。
(1)能力値判定:1d20+修正値で難易度以上で成功
(2)セーヴィング・スロー:1d20+能力修正値で、DMが示す難易度や相手の呪文抵抗難易度以上で成功
(3)攻撃ロール:1d20+攻撃ロールへの修正値で目標のAC以上で成功
(2)セーヴィング・スロー:1d20+能力修正値で、DMが示す難易度や相手の呪文抵抗難易度以上で成功
(3)攻撃ロール:1d20+攻撃ロールへの修正値で目標のAC以上で成功
(1)での、行為の難しさは「非常に簡単」(5)から「ほとんど不可能」(30)にかけて5刻みで6段階からDMが決めておく。そのための表も、このあと紹介する「プレイヤー用ベーシック・ルール日本語版」に載っている(DMは、もちろん場面によって基準の値にプラス、マイナスして構わない)。
(2)セーヴィング・スローは、大抵は罠、毒、病気、一部の呪文、モンスターの特徴を受けてしまうかもしれないという場面で、DMから「難易度10の【敏捷力】のセーヴィング・スローをしてください。」などと指示されるので、「1d20+指定の能力の能力修正値(ここでは指定の【敏捷力】の修正値)」で、DMが示した難易度以上であれば「抵抗は成功」となる。毒や病気であれば、【耐久力】であることが多い。
(3)は、目標のもつ回避の値「アーマー・クラス(AC)」で結果を判定する。1d20の出目+(その攻撃方法の)修正値で、目標のAC以上なら当たりである。
プレイヤー・キャラクターのACは作成時に決まるし、モンスターのACはデータ・ブロックに記載されている。
攻撃が当たったら、武器や攻撃呪文ごとに指定されているダメージ・ダイスを振って、与えるダメージを決定する。ロングソードは1d8(8面ダイス1個)、3本の魔法の矢を撃つマジック・ミサイルの呪文では1本の矢ごとに1d4+1(4面ダイス1個の出目に1を加算する)という具合だ。このように20面体以外の多彩なダイスは効果の幅を決めるためにある。
ただ戦闘という極限状況での行動には、偶発的な成功や失敗がつきものだ。戦闘で振ったd20の出目で20が出たら目標のACに関係なくヒットする。1が出たら、どうであろうと失敗となる。
ここまで読んだら、君はD&Dを遊ぶ用意がもうできている。次に示す無料で手に入るドキュメントをダウンロードして、ルールブックを読みD&Dに取り掛かってもよい。『プレイヤー用ベーシック・ルール』の冒頭は、製品の『プレイヤーズ・ハンドブック』と同じ「はじめに」がそのまま掲載されていて、TRPGとは、D&Dとは、という入り口から読み始められるからだ。
ダウンロードは「D&D日本公式サイト」内の「サポート」http://hobbyjapan.co.jp/dd/support/ から可能だ。お勧めするのは次の4つのドキュメントだ。
(1)『プレイヤー用ベーシック・ルール』日本語版ver.2
(2)キャラクター・シート(PDF)
(3)『ダンジョン・マスター用ベーシック・ルール』日本語版ver.2
(4)1レベル用アドベンチャー・シナリオ “腐敗の影”
(2)キャラクター・シート(PDF)
(3)『ダンジョン・マスター用ベーシック・ルール』日本語版ver.2
(4)1レベル用アドベンチャー・シナリオ “腐敗の影”
(1)~(3)は、ルールとデータなので、プレイヤーでの参加だとしても読んでしまって構わない。キャラクターを作成して、プレイヤーでセッションに参加するのには(1)(2)があれば構わない。
(4)は、いよいよダンジョン・マスターに挑戦するとなった時に必要であれば手に入れよう。
次回は、(1)『プレイヤー用ベーシック・ルール』の、『プレイヤーズ・ハンドブック』との差について。その後は(3)(4)の使い方を紹介していく。