『逆鱗のハルト』
応募総数3,592作をかぞえた「第2回モーニングスター大賞」において、ファンタジー賞を受賞した『逆鱗のハルト』。第1回では該当作なしとなってしまったファンタジー賞受賞作ということで、ファンタジー小説ファンに注目の集まる作品となりました。
『逆鱗のハルト』は昨今の流行にはとらわれない、ストレートなファンタジー作品であることが審査員に高く評価された作品です。単行本発売を記念し、作品について、また創作活動について著者奏先生にお話をうかがいました。
不人気地味職“バッファー”の意地を見せてやる!
旧知の仲間と冒険者をしているハルト。パーティー内での役割は、メンバーや自分に強化魔法をかけながら自らも戦う“バッファー”だ。仲間とともに久しぶりに故郷に戻ったハルトは、養成学校時代の同期で《疾風》の二つ名を持つディティアと再会。大規模な討伐でパーティーメンバーを喪ったディティアを放っておけなくなったハルトは、ディティアを自分のパーティーに加えることを決意する――。
バッファー・ハルトの冒険譚、開幕!
旧知の仲間と冒険者をしているハルト。パーティー内での役割は、メンバーや自分に強化魔法をかけながら自らも戦う“バッファー”だ。仲間とともに久しぶりに故郷に戻ったハルトは、養成学校時代の同期で《疾風》の二つ名を持つディティアと再会。大規模な討伐でパーティーメンバーを喪ったディティアを放っておけなくなったハルトは、ディティアを自分のパーティーに加えることを決意する――。
バッファー・ハルトの冒険譚、開幕!
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『逆鱗のハルト1』 奏(著)、吉田 エトア(イラスト)
パンタポルタ×奏
――――本日はよろしくお願いいたします。まずは「第2回モーニングスター大賞」ファンタジー賞受賞、そして作家デビューおめでとうございます。
ありがとうございます!
――――受賞が発表されたのが今年の1月。それから8ヶ月間の改稿作業を経てのデビューとなりましたがこの間はいかがでしたか? 受賞前に想像していた通りだったこと、予想外であったことなどあれば教えてください。
そうですね……皆さんが知りたいと思うので、ざっくりと、デビューまでに「どんなことをするのか」お伝えしますね。まず安心だったのが「契約書をかわす」ところからだったこと。未知の世界でしたので、ちゃんとした書類はほっとしました。それから担当さんとお顔合わせして、何度も原稿のやり取りをし、イラストは同時進行でした。
イラストを入れる位置や雰囲気などなど、ちゃんとご相談があって決まるので、楽しかったですよ。
ちなみに、イラストレーターさんは「この方をどうか候補に!」と持ち込みました(笑)
※もちろん、希望しても絶対に採用ってわけではないです!
――――普段の連載と編集者とのやりとりの上での作業では違った感覚がありましたか。
すごくありました。まずお尻が決まっていることですね!
自分の意図した気持ちが伝わってなかったりすることもあるし、こうやって書いたほうが伝わるんだなーって思うことも。
でも、毎回すごく楽しくやり取りさせてもらえました!
――――さてここから奏先生の創作についてお話を伺いたいと思います。奏先生は2014年から「小説家になろう」に投稿を開始されていますが、それ以前からも小説執筆はされていたのでしょうか?
はいー。最初に書いたのは小学生……5年生くらいです。いま思うと薄っぺらい話だけど、確実な1歩だったかと。とくにたくさん書いていたのは中学生。そのときはノートに手書きで、いまも原点回帰したいときにたまに読み直しますよ! でも正直、書いていた年数は(受賞とは)関係なくて、書きたいって気持ちが大切かなって感じてます。
――――小学生のころから書かれていたのですね! 小説を執筆しようと思ったきっかけはなんだったのでしょう?
きっかけは、自分の思う世界を書いてみたい! っていう気持ちですが、大きく影響があったのはTRPGやテレビゲームです。
特に、TRPGは自分でルールを作って、友達を呼んで遊んじゃったくらい。後にそれをリプレイ小説にして、回し読みしてもらうんです。ちゃんとロールプレイして、楽しかったなぁ。
『逆鱗のハルト』を読んでくれている皆さんも、意外とハードルは高くないからやってみるといいと思う! ……予想外の出来事が起こって本当に冒険している感覚になるし、ファンタジー感が培われる気がします。
テレビゲームは『ワイルドアームズ』が好きで、ハルト世界観にはかなり影響がありますね……ああ、語り出すと止まらない。
もちろんネトゲもやりましたよ! いわゆる廃人さんくらいは……(笑)
―――ファンタジーへの入り口がゲームだった、というのは他の書き手の方にも多そうですね。「TRPGが物語作りの基礎になった」というお話は他の作家様からもうかがったことがあります。
そうみたいですね。新紀元社さんはTRPGとの関わりが深いと思うのですが、思いもよらないことが起こるからこそ、設定がしっかりしてないと駄目だって感じませんか? そんなところが物語作りの糧になるんだと思います!
――――適当な設定でごまかしてたら、しっちゃかめっちゃかになっちゃうのはTRPGあるあるですね(笑)。さて、そうした執筆活動のなか 『逆鱗のハルト』の連載を開始して、手応えを感じたタイミングはありましたか?
そうですね……大きく挙げられるのは2つ。
1つ目は、あるとき、「こんなおっさんを泣かせて……」と、感想がついたこと。感動というか、盛り上がるシーンを書いているつもりだったので、同じ気持ちでいてくれる人がいたことに胸が熱くなりました!
――――ちなみにそのエピソードとは? 間もなく発売の第1巻にも入っているのでしょうか?
これは……言っちゃっていいのかな? 2巻に入るエピソードです。せっかくなので、描写をより深くしたいなーって思ってます。ここかな? って思ってくださった方は、こっそり教えてくださいね(笑)
2つ目は、「小説家になろう」さんで、完結ブーストと呼ばれる突然のPVの伸びですかね。不正アクセスかと思ったくらいでしたから、そのとき初めて、たくさんの人に響いてくれたんだなーって。
とはいえ、ひとりでもふたりでも読者さんが来てくれる……それが素晴らしいことなんだと思ってたので、書き続けるのは苦ではなかったかな。
――――奏先生はかなり連載更新の頻度が高いのですが、創作時間の確保はどうされているのですか?
最近ちょっとバタバタしちゃってて、更新が空くことがあって大変申し訳ないのですが……普段は移動時間を中心に書いています。
なので朝と夜の電車が基本。あとは気が向いたら、お風呂入りながら書いたりしますよー!(富○通さんの防水携帯なのだ!)
――――奏先生は普段お仕事をされながらの執筆ですよね。お仕事の忙しい時期などは創作時間の確保も大変だったのでは。
そうですね……忙しいときは執筆を休ませてもらってます。読者の皆さんも待っていてくれて、それがまた励みになってたり。
ただ、毎日数行でも書けば、数日に1回は投稿できるので、ちょっとずつでもやってます。
けど、ゲームする時間はがっつり取ってます!(笑)
――――ファンが作家の事情も考えて待ってくれているのですね。そんな読者からの反応で嬉しかったことを教えてください。
それはもう、来てくれること、コメントをくれること、ドキドキしたりやきもきしたりしてくれること全てです。
皆さんが一緒になって主人公のハルトを弄ったりしてくれるのも最高!
――――いよいよ『逆鱗のハルト』発売間近ですが、自作が書籍化されたことで嬉しかったことはなんですか?
イラストがつくことはもう言うまでもないですが……。一緒に喜んでくれる人たちが多かったことですかね。読者の皆さんはもちろん、家族、友達、そしてなんと職場の方々まで。しかも上司がめちゃくちゃ読み込んでくれているので頭が上がりません。
――――職場にまでファンの輪が広がっているのですね! そんなファンの皆様におすすめしたい、書籍版の注目ポイントがあれば教えてください。
ふふふ……なんと書き下ろしがあるんですよ! ハルトたちが旅に出る前……冒険者養成学校のお話です。
書いてみたいなと思っていたエピソードの1つです。
――――Web版からのファンにも楽しみな要素ですね。冒険者養成学校に入学してみたい、なんて方も多そうです。
現実世界でなく、こうしたファンタジー世界を舞台とすることの魅力にはどんなところがあるのでしょう。
これは、やっぱり「憧れを形にできること」じゃないでしょうか。「現実逃避」とも言います(笑)。
そこではどんな人がどうやって生きているのか。こんな状況があったら楽しいかも、などなど。好きを形にできるのがいいですね!
――――最後に、今後チャレンジしてみたい作風があれば教えてください。
女性主人公で、剣よりも魔法主体のお話ですね。ほかには、ホラーというか……怪談まがいのものも好きだったりします。
個人的には、流行りだ廃りだは関係なくて、書きたいものを書くことが1番楽しいです。……誰も来てくれない、やめた! ってなりがちなWEB投稿ですが、せっかくなので必ず完結まで、楽しく書けるお話を書きたいなと。
妄想は楽しいですからね!
――――本日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました!
◇◇◇
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