アーサー王伝説にはたくさんの魅力的な騎士が登場します。その中から、今回はアーサー王の甥にあたるユーウェイン卿をご紹介しましょう。
目次
円卓の騎士のひとり、ユーウェイン卿とは?
【ユーウェイン卿ってどんな人物?】
・父はゴアのユリエンス王、母はアーサー王の姉モーガン。つまり、ユーウェインはアーサー王の甥。
・ガウェイン卿の従兄弟にあたる。
・あだ名は「獅子の騎士」。
・円卓の騎士のひとり。理想的・典型的な騎士として描かれることが多い。
ユーウェインはアーサー王の甥にあたる人物で、従兄弟には午前中の3時間だけ普段の3倍の力を発揮できる騎士ガウェインがいます。
ユーウェインはアーサー王に仕えた円卓の騎士のひとりですが、勇猛果敢な従兄弟のガウェインとは違い、若い頃はなかなか功績をあげられませんでした。
ですが後に冒険や恋をして大きく成長し、理想的・典型的な騎士と讃えられるまでになったのです。
次項からは円卓の騎士ユーウェインの冒険譚をいくつかご紹介しましょう。
若き日のユーウェイン、宮廷から追放される
若い頃のユーウェインはなかなか功績をあげられず、もどかしい思いをしていました。しかし宮廷では謙虚にふるまい、身分の低い侍女リュネットにも優しく接するなどしています(このリュネットが、後にユーウェインの人生に大きく関わることとなりました)。
そんなある日、ユーウェインの母モーガンは、愛人を使って父ユリエンスやアーサー王の殺害を企てます。たくらみは失敗し、母親の罪を背負ったユーウェインは宮廷から追放されてしまいました。
放浪の旅に出たユーウェインは、途中で60歳代の不思議な女性と出会い、彼女に従って西へと進みます。そうしてある日、馬上競技大会に出場することになりました。
ユーウェインは2人の騎士を相手に剣をふるい続けます。戦いは5時間も続きましたが、彼はついに勝利をおさめ、従兄弟のガウェインとともにキャメロットの宮廷へと帰還しました。
こうして彼は一人前の騎士としてアーサー王に認められ、宮廷への復帰を認められたのです。
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ユーウェインの恋と冒険、そして死
ユーウェインの冒険はまだまだ続きます。その様子をハイライトでご紹介しましょう。
【ユーウェインの恋と栄光】
・黒騎士を斃し、その妻だった女性ローディーネと結婚して一国一城の主となる。
・再び冒険の旅に出るが、1年という期限を忘れて冒険に熱中してしまったため、夫婦の縁を切られてしまう。
・放浪の旅の途中で助けたライオンに懐かれ、「獅子の騎士」と呼ばれるように。
・キャメロットの宮廷に仕えていた侍女リュネットや、従兄弟のガウェインの窮地を救い、妻に許される。
・最期はモードレットに斃され亡くなった。
宮廷に復帰してから数年後、ユーウェインはブロセリアンドの森に現れる不思議な黒騎士に挑戦し、致命傷を与えることに成功します。
黒騎士の城にいたのは、かつてキャメロットの宮廷で優しく接した侍女リュネットでした。ユーウェインは彼女の助けを借り、黒騎士の妻だったローディーネと結婚します。
しかし騎士である以上、冒険に出て試練に立ち向かい続けなければなりません。そこで彼は1年という期限つきで新たな旅に出ましたが、期限を忘れて旅を続けたため、激怒した妻に夫婦の縁を切ると宣言されてしまいました。
ユーウェインは失意のあまり宮廷を飛び出しました。森の中で巨大な竜と戦うライオンを助け、「獅子の騎士」と呼ばれるようになります。
その後、妻を裏切るような夫(ユーウェイン)を連れてきたとして死刑にされかけていた侍女リュネットを助けたり、恐ろしい試練に立ち向かい窮地に陥っていた従兄弟のガウェインを救うなどの功績を挙げ、ついに妻ローディーネから許してもらうことができました。
こうした数々の冒険を経て、ユーウェインは騎士道精神にあふれた騎士として広く知られるようになりました。ですが彼は決して驕らず、円卓の騎士の一員としてアーサー王に忠誠を誓い続けます。
そうしてアーサー王最後の戦いの場となったキャムランの戦いで、アーサー王の息子モードレットにより斃され、その生涯を終えたのです。
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