2000年以降のD&D日本語版シリーズにおいて、いくつもフォーゴン・レルムを紹介するサプリメントが刊行されてきた。もちろん一冊の中にすべてのことを書ききることはできないため、網羅的な歴史や、冒険の舞台としてスポットを当てる都市・地域本も刊行された。
そこには様々な紹介・解説が掲載されている。
■ダンジョンズ&ドラゴンズ第3版、第3.5版
『フォーゴトン・レルム・ワールドガイド』(原題:"Forgotten Realms Campaign Setting" WotC, 2001、ホビージャパン 2004)
『フェイルーンの魔法』(原題:"Magic of Faerun" WotC, 2001、ホビージャパン 2005)
『フェイルーンのモンスター』(原題:"Monster Compendium: Monsters of Faerun" WoC, 2001、ホビージャパン 2005)
『フェイルーン・プレイヤーズ・ガイド』(原題:"Player's Guide to Faerun" WotC, 2004、ホビージャパン 2006)
『アンダーダーク』(原題:"Underdark" WotC, 2004、ホビージャパン 2006)
『ウォーターディープ 壮麗な都』(原題:"City of Splendors: Waterdeep" WotC, 2005、ホビージャパン 2007)
『フォーゴトン・レルム年代記』(原題:"Grand History of the Realms" WotC, 2007、ホビージャパン 2008)
『フェイルーンの魔法』(原題:"Magic of Faerun" WotC, 2001、ホビージャパン 2005)
『フェイルーンのモンスター』(原題:"Monster Compendium: Monsters of Faerun" WoC, 2001、ホビージャパン 2005)
『フェイルーン・プレイヤーズ・ガイド』(原題:"Player's Guide to Faerun" WotC, 2004、ホビージャパン 2006)
『アンダーダーク』(原題:"Underdark" WotC, 2004、ホビージャパン 2006)
『ウォーターディープ 壮麗な都』(原題:"City of Splendors: Waterdeep" WotC, 2005、ホビージャパン 2007)
『フォーゴトン・レルム年代記』(原題:"Grand History of the Realms" WotC, 2007、ホビージャパン 2008)
フォーゴトン・レルムは、エド・グリーンウッド(Ed Greenwood 1959-)の手による剣と魔法の物語世界である。彼がD&Dに出会う前から創造していた剣と魔法の世界を、D&Dキャンペーン世界に用いた。
その時点で、ウォーターディープ、シャドウデイルといった、今でもゲーム中で有名な場所がすでに設定されていた。その後、(TSRによる)D&D公式情報誌"Dragon"誌(1976-2007 TSR,WotC)での記事において、フォーゴトン・レルムを紹介していき、その蓄積がAD&Dの公式世界のひとつとして実を結んだのだ。
日本語製品で、このフォーゴトン・レルムを集大成している大書が『フォーゴトン・レルム・ワールドガイド』である。
「現在」を1372DR(DR=デイル暦)とし、そこにはフェイルーンにいる様々な種族と、種族ごとの居住地域と言語、クラスそれぞれの社会の中での立ち位置や特徴、特技、上級クラス、魔法の仕組みと追加の呪文、暦、季節、一般風俗、そして地理が紹介されている。地理の章では、地域の首都、人口、政治形態、宗教、輸出入品、属性、そして説明という書式で網羅的に記述され、それに続き主要な地勢、重要地点が紹介される。
この後には第5章 神々、第6章 歴史、第7章 団体と続く。プレイヤーも読めば、よりフォーゴトン・レルムの住人としてのふるまいが「らしく」なるだろう。
ほか、DM向けの第8章 レルムの運営と、2本のアトベンチャー・シナリオと、若干数モンスターが掲載されている。
さらにプレイヤー向けの『フェイルーン・プレイヤーズ・ガイド』もあれば、プレイヤー・キャラクター(以降"PC")の視点での、道具や装備品といったものも詳しく知ることができる。呪文を駆使するPCをもつプレイヤーには『フェイルーンの魔法』があり、敵については『フェイルーンのモンスター』がある。
さらに第3.5版の日本語版展開終盤に刊行された『フォーゴトン・レルム年代記』によって歴史も深度を大きく増す。『フォーゴトン・レルム年代記』は、ゲームデータは一切掲載されていないが160ページ弱のハードカバーで、-31500年~1385年までをカバーする年表本だ。重要な事件は要点を押さえた短い解説がされている。もちろん、ゲームでの「近年」の方が解説内容は詳しい。テーブルトークRPGだけでなく、パソコンゲーム、小説なども包括的に収録されいる。例えば、
・『1328DR 蝮(ルビ:まむし)の年 ――ドリッズト・ドゥアーデンが故郷であるメンゾベランザンから逃げ出す』(「ダークエルフ物語」シリーズ)
・『1345DR 鞍の年 ――"殺害の王"ベハルがムーンシェイ諸島にある地母神のムーンウェルの中の1つを腐敗させる。このダークウェルから現れた"魔獣"カズゴロスがムーンシェイを荒廃させて地母神を滅ぼそうと試みる。』(「ムーンシェイ・サーガ」シリーズ)
・『1368DR 旗の年 ――ベハルの子供であるセアヴォックが"鉄の玉座"とともに、オームーとバルダーズ・ゲートを戦争させようと計画し、その一環としてオームーのナシュケル町の上にある鉄鉱山に"毒を盛る"。』(Windows PC 原題:"Baldur's Gate" BioWare 1998、セガ・エンタープライゼス 2000)
※ 括弧書きはこの記事での付記。書中では出典に触れる記述はない。
本書は、1385DRにD&D第4版におけるフェイルーンの状況の前提となる「呪文荒廃」が述べられた項目で終わっている。
英語であればそれ以後も、Forgotten Realms Wikiで同等の情報を参照できる。このサイトには6月4日現在、すでに第5版のサプリメント"Mordenkainen's Tome of Foes"(WotC, 2018)、アドベンチャー"Waterdeep: Dragon Heist"(WotC, 2018)についての記事がある。
なお「呪文荒廃」については、次の第4版『フォーゴトン・レルム・キャンペーン・ガイド』に詳しい。
※記事中の日付は記事公開時のものです。
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