D&Dの代表的な冒険世界「フォーゴトン・レルム」
D&D第5版ではプレイに推奨・サポートされる世界として「フォーゴトン・レルム」が用意されている。
コア・ルール3冊は特定の世界設定に捕らわれないルールと記述がされているが、サプリメントやアドベンチャーでは、その多くがフォーゴトン・レルムを舞台として書かれ、描かれている。
世界設定はプレイ・グループごとに設けられる平行世界のごときものではある。
だが『ダンジョン・マスターズ・ガイド』(以後"DMG")を片手にゼロから世界をつくるのは大仕事が過ぎるし、作った設定をプレイヤー(や他のDM)と共有するのも大変だ。プレイする力をそれに削がれてしまっては本末転倒というものだ。
そのためサプリメントという形で、いままでのD&Dで育まれてきたフォーゴトン・レルムを第5版の主な舞台世界として紹介するのが、『ソード・コースト冒険者ガイド』(以後"SCAG" 原題:"Sword Coast Adventurer's Guide" WotC 2015、ホビージャパン 2018)だ。
SCAGでは、第5版においての時代のフォーゴトン・レルムについて、まずフェイルーン大陸の西海岸「ソード・コースト」地域を詳しく紹介する。
「スターター・セット」収録の「ファンデルヴァーの失われた鉱山」をはじめ、第5版用の公式アドベンチャーの多くは、この地域で展開される。
第3.5版、第4版、NEXTのデータをそろえた『殺戮のバルダーズ・ゲート』『クリスタルシャードの影』のその後も紹介されている。
アドベンチャー・シナリオ『魂を喰らう墓』の物語は、バルダーズ・ゲートに始まる。
また本書には、世界設定資料だけでなく、プレイヤー・キャラクター(以降"PC")むけの選択ルールや追加のサブクラスが掲載されている。目次や内容を紹介していこう。
第1章:レルムへようこそ
ソード・コーストと"北方"
トリルの各地域
レルムにおける時と暦
歴史の概要
レルムにおける魔法
レルムにおける宗教
フェイルーンの神々
ソード・コーストと"北方"
トリルの各地域
レルムにおける時と暦
歴史の概要
レルムにおける魔法
レルムにおける宗教
フェイルーンの神々
第2章:ソード・コーストと"北方"
領主同盟
"北方"のドワーフ族の拠点
島嶼(ルビ:とうしょ)諸国
独立の諸地域
アンダーダーク
領主同盟
"北方"のドワーフ族の拠点
島嶼(ルビ:とうしょ)諸国
独立の諸地域
アンダーダーク
第1章は全般として概要ではあるが、「レルムにおける宗教」「フェイルーンの神々」の項目は詳しく、信仰されている主だった神々の解説と一覧がある。
PCがクレリック、バード、パラディンのプレイヤーは必読だし、ウィザード、ウォーロック、ソーサラーも、知識としてPCのキャラクターの幅を拡げるだろう。
また、種族ごとのパンテオン(元はギリシャ語で「万神殿」の意から、神々のグループのことを称する)も紹介されていて、「第3章:レルムの種族」において言及される部分でもある。
第2部は地理をベースに、ウォーターディープ、ネヴァーウィンター、バルダーズ・ゲート、ミスラル・ホールといった、アドベンチャーや(デジタルの)ゲーム、小説などでも登場し、知られている都市・地域を紹介している。
"北方"とドワーフ族の拠点は「アイスウィンド・サーガ」で舞台となっているし、島嶼諸国は「ムーンシェイ・サーガ」のムーンシェイ諸島を含むソード海の島々だ。
アンダーダークは、ドリッズト・ドゥアーデンの故郷メンゾメランザンがある地下世界であり、第5版1~15レベル向け公式アドベンチャー"Out of the Abyss"(WotC 2015)においても様子や、様々な出来事が描かれている。
世界設定というと、DMの領分という印象があるかもしれないが、PCを取り巻く社会、環境、文化を知ることは、担当するPCの奥行きを深める格好の材料になる。
第3章:レルムの種族
エルフ
ドワーフ
ハーフリング
ヒューマン
ティーフリング
ドラゴンボーン
ハーフエルフ
ハーフオーク
ノーム
エルフ
ドワーフ
ハーフリング
ヒューマン
ティーフリング
ドラゴンボーン
ハーフエルフ
ハーフオーク
ノーム
3章では、PHBに掲載されたPC選択種族が、フォーゴトン・レルムではどのような種族で、どのように過ごしているかといったことを紹介している。
その種族らしさを知って、プレイに反映すれば、能力値や特徴といったゲーム・データにとどまらない、キャラクターとしての広がりをセッションにもたらすはずだ。
第4章以降は、クラス、背景といったPCのデータにも取り入れることができる事柄が紹介されていく。次回はそのパートを見ていこう。