イラスト:緒方裕梨(@colornix) |
母に存在を否定され、ついた名前は「手先の器用な金髪の誰か」
『マビノギオン』の第4枝に登場する不幸な青年スェウ・スァウ・ゲフェスをご紹介しましょう。
このスェウ(以下略)という長ったらしい名前は、「手先の器用な金髪の誰か」の意味を持っています。名前の中に「誰か」と入っているなんて、ちょっとおかしいですよね。
じつは、母アリアンフロドの言った「手先が器用ね」という褒め言葉をそのまま名前にしたことが理由。それまでのスェウは、母によって「名前をもらえない」呪いをかけられていたのです。
うっかり誉め言葉を与えてしまったアリアンフロドは怒り狂い、スェウにさらなる呪いをかけました。それが「武具をもらえない」呪いと「人間と結婚できない」呪いです。
何もそこまでしなくても――そう思ってしまいますが、スェウはまたしても呪いの裏をかいてアリアンフロドの鼻を明かしたのでした。
余談ですが、不死に近い能力をもっていたスェウには奇妙な弱点があります。
「川の上につくった浴槽に片足を、もう片方の足を牡山羊に掛けた状態で、日曜日だけ作業をして1年かけて鍛えた槍で刺されると致命傷を負う」とのこと。
スェウを倒すこと以上に、槍を用意するハードルの方が高そうですね。
次回は5月21日に
「中世ヨーロッパのテーブルマナー」の1コマ漫画を公開します♪
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