『プレイヤーズ・ハンドブック(PHB)』『モンスター・マニュアル(MM)』に、『ダンジョン・マスターズ・ガイド(DMG)』日本語版がこの4月に発売となる。限りない冒険を遊ぶことができる“コア・ルール”すべてがそろうのだ。
世界で最初のロールプレイング・ゲーム(RPG)であるD&Dについて、いつ誕生したのか、どのような遊びなのか、ということが日本語で公式サイトに掲載されている。コア・ルールを手に取る前に一読してもらえれば、冒険に飛び込み、クリエイティビティ―を発揮する君の背中を力強く押す手になること間違いない。
D&D日本公式サイト「D&Dとは?」(PHB「はじめに」より抜粋)
http://hobbyjapan.co.jp/dd/playdd/
そしてD&Dを遊ぶにはコア・ルールに加えて冒険の筋書き、つまり“アドベンチャー”が必要だ。
これから遊ぶなら
第5版から「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を遊ぶなら、『スターター・セット』に収録の「ファンデルヴァーの失われた鉱山」(キャラクター1~5レベル向け)がおすすめだ。『スターター・セット』には作成済みキャラクターが入っていて、特に「背景」が収録アドベンチャーに絡みやすい内容になっており、遊びやすい。もちろん、PHBを使って作成したキャラクターたちで挑むのも楽しいだろう。ホビージャパンのD&D日本語版公式ウェブサイトでも、1レベル用ショート・アドベンチャー『腐敗の影』を公開している(*1 。
日本語版ハードカバーの大型アドベンチャーは、『魂を喰らう墓』(原題:Tomb of Annihilation WotC 2017)が、この春にお目見えする。1~11レベルに対応していて、5レベルからのスタート方法も記載されているから、「ファンデルヴァーの失われた鉱山」の続きとして始めることもできる。『魂を喰らう墓』の魅力については、ネタバレをしない形で次回以降、紹介する。
アドベンチャー自作派の君には
アドベンチャーを自作するならDMGを手引きに、村などでの困りごと(大抵はモンスターの害だろう。ゴブリン、コボルドといった迷惑なヒューマノイドや、モンスターに匹敵するなにかしら動物などの巣が近所にできてしまったとか、行きずりの魔法使いがうかつにも忘れていったアニメイテッド・オブジェクト(MM p.15~16)が勝手に暴れるなど、MMから適切な脅威度のモンスターのデータを選び出しておき、それらの討伐を頼まれ、技能を使って探し出し、戦闘遭遇で倒す)を解決する小規模なものから、陰謀渦巻く国家間の軋轢を題材にしたり、悪魔あるいは強大なドラゴンに挑むことになるような大規模な物語を、世界から独自に作り起こすこともできる(第13回「第1部:世界の管理者」)。そのような偉大な冒険譚に挑むキャラクターを作成したり、レベルアップしていくルールはすべてPHBに掲載されているし、登場しそうなモンスターは弱いものから強いものまでMMにある。遊ぶ意欲が続く限り、コア・ルール3冊の内容は君たちの冒険心に応じてくれる。
D&D第5版では、もうひとつのスタイルも推奨されている。第4版までのアドベンチャーを変換して、第5版で遊ぶ方法だ。
公式の第5版アドベンチャー集『TALES FROM THE YAWNING PORTAL』(WotC 2017 未訳)には、7本のアドベンチャーが収録されている。いずれも過去のバージョンの"モジュール"や"アドベンチャー"を第5版向けに変換したものだ。
そのうち"The Sunless Citadel"は『地底の城砦 D&D冒険シナリオシリーズ1』(ホビージャパン 2003)、"The Forge of Fury"は『秘密の工房 D&D冒険シナリオシリーズ2』(ホビージャパン 2003)として、D&D第3版の日本語版で刊行されていたタイトルから変換した作品だ。イラストやデータはあらたなもので、手元にこの日本語版があればデータは『TALES FROM THE YAWNING PORTAL』を参照して遊ぶことができる(R&Rステーション秋葉原店で開催中の D&D Adventurers League では、2017年6月から10月にかけて『地底の城砦』で第5版のセッションが開催された)。
アドベンチャーの変換については、"Conversions to 5th Edition D&D"としてDungeons & Dragons Official Homepage にて、2015年10月"RULES REFERENCES"の中で"CONVERSIONS TO FIFTH EDITION"(http://dnd.wizards.com/articles/features/rules-references-october-2015 [英語])として公開され、プレイヤー・キャラクターやアドベンチャーの第5版への変換についての手引きとなっている(現在の最新版は2017年8月31日 "Conversions to 5th Edition D&D (version 1.01)" http://dnd.wizards.com/articles/sage-advice/rules-references-august-2017 [英語])。
D&Dを追いかけてきたユーザーは、棚からお気に入りのアドベンチャーを持ち出して、第5版で遊ぶこともできるのだ。
それ以外にも第4版のアドベンチャー『殺戮のバルダーズ・ゲート』(原題:“MURDER IN BALDUR'S GATE SUNDERING ADVENTURE I” WotC 2013、ホビージャパン 2014)、『クリスタルシャードの影』(原題:“LEGACY OF THE CRYSTAL SHARD SUNDERING ADVENTURE II” WotC 2014、ホビージャパン 2014)を第5版(正確にはD&D Next)でプレイするためのデータを提供する予定だ。
このふたつのアドベンチャーは、どちらも1レベルから始まるもので『殺戮のバルダーズ・ゲート』は"バルダーズ・ゲート"という大都市でのシティー・アドベンチャーを、『クリスタルシャードの影』はテンタウンズと呼ばれる町々がある雪深い"アイスウィンド・デイル"という地方を舞台に、悪の芽を小さいうちに戦って解決するという活躍を楽しめる。 両製品とも、地域と住民を解説する設定本の"キャンペーン・ガイド"と、"アドベンチャー・ブック"、それにマスタースクリーンのセットで、その2冊の掲載内容は第3.5版、第4版、第5版(NEXT)に対応するマルチバージョンだ。モンスター・データ・ブロックは公式のダウンロードで手に入れる。日本語版は第4版製品としての発売だったため、第4版のデータ・ブロックのダウンロードのみであったが、第5版の展開に当たり現在、許諾を求めているところだ。
(*1
"Open-Gaming License(OGL)"に基づいてコンテンツを公開するためのガイドライン"The Systems Reference Document (SRD)"に則り作成。規約の範囲内でD&D第5版のシステムでオリジナルのコンテンツを作成することができる。
詳しくは http://dnd.wizards.com/articles/features/systems-reference-document-srd [英語]
※記事中の日付は記事公開時のものです。