『ゲゲゲの鬼太郎』には多くのユニークな妖怪が登場しますが、子泣きじじいもそのひとりです。実は子泣きじじいだけでなく、日本各地にはよく似た妖怪が多数出没しているのをご存知ですか?
『幻想世界の住人たちⅣ』(多田克己 著)では、日本に伝わる様々な妖怪や怪異にまつわる伝承をまとめて紹介しています。今回はその中から、子泣きじじいやその仲間の妖怪についてご紹介します。
目次
赤ん坊の正体はお爺さん 子泣きじじいと仲間の妖怪①
まず、そもそも子泣きじじいとはどんな妖怪なのでしょうか?夜道を歩いていると、道端で泣き叫んでいる赤ん坊がいます。捨て子かと思い抱き上げてみると、赤ん坊ではなく、おじいさんの顔をしているではありませんか。これが子泣きじじいという妖怪です。
驚いて放り投げようとしても、子泣きじじいはしっかりとしがみついて離れようとはしません。さらにどんどん重くなっていき、最後には子泣きじじいのあまりの重さに押しつぶされて殺されてしまうことすらあるといわれています。
四国には、この子泣きじじいの仲間とされる妖怪が他にも出没するといいます。
ひとつは「オギャナキ」という妖怪で、姿は見えないにもかかわらず泣き声だけが聞こえるのです。この妖怪は時折姿を見せる場合があり、その際には「負うてくれ」と頼み込んできますが、決して背中に負ぶってはいけません。オギャナキは次第に重くなり、しまいにはこちらが潰されてしまうからです。
もうひとつの四国にいる子泣きじじいの仲間とされる妖怪は、「ゴギャナキ」と呼ばれています。一本足の妖怪で、高知県の山中を「ゴギャゴギャ」と泣きながらうろついていました。この妖怪が現れると地震が起こるとして恐れられています。
一方、四国から遠く離れた東北の青森県には、子泣きじじいならぬ「子泣きばばあ」が出たという伝承が残されています。こちらもおばあさんの顔をした赤ん坊で、持ち上げることができないほど重いのですが、ある老人は軽々とこれを持ち上げ、鍋で煮て食べてしまったということです。
赤ん坊の死霊たち 子泣きじじいの仲間の妖怪②
続いて、日本全国に伝わる赤ん坊の死霊についてご紹介しましょう。「アカングヮーマジムン」は沖縄県に現れる赤ん坊の死霊で、赤ん坊の姿をして夜道を動き回っています。人間と出会うとその人の股間に潜り込もうとしますが、決して潜り込ませてはいけません。魂を取られて死んでしまいます。対処法は両足を交差させて潜り込めないようにすることで、諦めて去って行くといわれています。
「ウブ」は新潟県佐渡島に出るという死霊で、大きな蜘蛛の姿をして「オギャーオギャー」と泣き叫びながら現れます。その正体は死んだ赤ん坊や間引きをして野山に捨てられて子どもとされており、出会った人の足にしがみついて命を取ろうとしてきます。
もし足にしがみつかれたら、履物の片方を脱ぎ、肩ごしに投げて「お前の母はこれだ!」と叫びましょう。そうすればウブは消え去り、命を失わずに済むのです。
「ノヅコ」は愛媛県南部に伝わる、間引きされたまま供養に出されていない赤ん坊の霊です。
夜道を歩いていると突然足がもつれて歩けなくなったり、どこからか恐ろしい叫び声が聞こえたり、赤ん坊の泣くような声が聞こえることがあります。こうした目に遭うのはノヅコに憑かれたせいで、草履の鼻緒か、「チ」と呼ばれる紐を通すための小さな輪を与えると姿を消すといわれています。
人間が妖怪を産む?! 子泣きじじいの仲間の妖怪③
最後に、人間が産み落とした妖怪についてお話しましょう。人間の妊婦が、赤ん坊を産まず妖怪を産んでしまうことがあるというのです。こうした妖怪は総称して「岡山県に伝わる「オケツ」も産怪の一種で、人間というより亀に似た姿をしています。母体内から出るとすぐに這いずりはじめ、家の縁の下に逃げこもうとします。もし殺し損ねて縁の下に逃げられてしまうと、産後の養生で寝ている産婦の真下へやって来て、産婦を殺してしまうのです。
埼玉県浦和地方ではこれを「
本書で紹介している明日使える知識
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