今や日本でも着実に広まりつつあるハロウィン。仮装行列に参加したことがあるという方もいるかもしれませんね。そんなハロウィンに続き、日本で広まるのではないかといわれる欧米の文化に、イースターがあります。うさぎや卵の形をしたオーナメントやお菓子で知られるイベントですが、そもそも何をする日なのか、どうやって楽しめばいいのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
『図解 食の歴史』(高平鳴海 著)では、中世ヨーロッパを中心とした食文化の歴史を文章と図解で紹介しています。今回は本書を参考に、イースターの楽しみ方についてお話します。
目次
イースターはいつ? イースターに遊ぶゲームとは
イースターは、十字架に架けられたイエス・キリストが3日後に復活したことを祝う「復活祭」です。キリスト教ではとても重要な日とされ、多くの教会で特別な礼拝が行われます。では、イースターはいつなのでしょう?
実はイースターの日付は毎年変わります。「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」と定められているからです。キリスト教の中でも西方教会(ローマ・カトリックやプロテスタントなど)と東方教会(正教会など)で日付が異なりますが、2018年のイースターは西方教会では4月1日、東方教会では4月8日となります。
教会によって日付が異なるのは、西方教会ではグレゴリオ暦、東方教会ではユリウス暦と、異なる暦を使って計算しているためです。
イースターの日、海外ではカラフルなペイントを施した「イースターエッグ」や「イースターバニー」を飾ってお祝いします。日本でも近年、お店の店先に卵やうさぎの形をしたオーナメントやお菓子を売っているところがありますので、見たことがある方もいるかもしれませんね。
ではなぜ卵やうさぎをシンボルとして飾るかというと、卵は生命のはじまりを表すものであり、ひよこが卵の殻を破って出てくる様子がキリストの復活を象徴しているためといわれています。またうさぎは多産であることから、豊穣のシンボルとされイースターで用いられるようになりました。
海外ではイースターエッグなどを飾って楽しむ他、ご馳走を食べたり、卵を使ったゲームをしたりしてイースターをお祝いします。
たとえば「イースターエッグロール」というゲームは、イースターエッグをスプーンに乗せて、割らないように気をつけながらゴールまで走るという遊びです。アメリカではホワイトハウスでも毎年イースターエッグロールの大会が開かれ、子どもたちが順位を競い合っています。
また「イースターエッグハント」もよく行われる遊びです。庭などに隠されたカラフルなイースターエッグを子どもたちが探すというゲームになっています。
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イースターの象徴・卵を使った中世の料理
ところで、イースターの象徴である卵は昔から食べられていたのでしょうか?ヨーロッパでは、古くから卵料理が食べられていたことがわかっています。たとえば古代ローマでは、正餐の最初に出てくるメニューはゆで卵でした。
また中世ヨーロッパでも、卵は栄養のある人気食材でした。ただし鶏自体が高価だったため、鶏卵も決して安くはなかっただろうと考えられています。また、当時は鶏以外の鳥の卵も食べられていました。
食べ方は現代とあまり変わらず、目玉焼きやスクランブルエッグにするのはもちろん、オムレツやパンケーキ、スープなどの材料にしたり、肉に照りを付けたり、菓子を飴色に色付けするためにも使われています。カスタードクリームやスフレといった卵を使ったお菓子も古くから存在していました。
イースターにぴったり! 卵を使った占いいろいろ
最後に中世ヨーロッパの風習の中から、中部ヨーロッパでよく行われたという卵を使った占いをご紹介しましょう。・年間天気占い
この占いではまず、半分ぐらいに割った卵の殻12個(卵6個分×2)を用意します。続いて12個の卵の殻に1~12の数字を書き、その中に塩を詰めて翌朝まで放置します。朝になって塩が湿っていた卵の月は、雨が続くとされていました。
・鍋の卵占い
ミサの教会の鐘が鳴っている間に、小川から汲んできた水を入れた鍋に卵を割り入れます。浮かんできた生卵の形をみて物事を占うという方法です。
・卵黄の形占い
若い雌鶏が最初に産んだ卵を冷たい水の中で割るという、ババリア地方(ドイツ南部)の占いです。この占いでは、卵黄の形がその家の娘の将来の結婚相手を暗示するとされました。
年間天気占いや鍋の卵占いは主にクリスマスに行われた占いですが、イースターにチャレンジしてみるのも面白いかもしれません。今年のイースターには卵料理を食べたり、卵を使った占いやゲームに挑戦してみてはいかがでしょうか。
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