前回から引き続き、コア・ルールの三冊目『ダンジョンズ&ドラゴンズ ダンジョン・マスターズ・ガイド』の「はじめに」から、第2部、第3部の紹介をご覧いただく。
第2部:冒険の管理者
アドベンチャーを自作するにせよ、既製品を使うにせよ、ゲーム・テーブルを囲んですごす数時間以外にも、準備のための時間が必要になることは心しておこう。面白そうな筋書きを考え、新しいNPCを作成し、遭遇を組み立て、物語内の将来のできごとを予感させる伏線をうまく張るためには、少しばかり時間をかけて君の創造性を充分に発揮する必要があるだろう。本書の第2部は素晴らしいアドベンチャーを作成し運営するために書かれている。第3章はD&Dのアドベンチャーの基本的な要素を述べ、第4章は記憶に残るNPCの作り方を示している。第5章にはダンジョンや野外やその他の場所を舞台としたアドベンチャーを運営
するためのガイドラインとアドバイスがあり、第6章は冒険と冒険の合間の時間を扱っている。第7章はありとあらゆる財宝を扱っている。プレイヤーたちを君のキャンペーンに夢中にさせるために役立つ、魔法のアイテムや特別な報酬もこの章に含まれる。
第3部:ルールの管理者
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は顔と顔を突き合わせて勝ち負けに熱中するようなゲームではない。だが、卓を囲む全員がルールに従っていることを保証するためには、ゲームの参加者でありつつも公平な判断を下せる人間が必要だ。ゲーム世界を作り、その世界を舞台とするアドベンチャーを作るのはDMなのだから、DMが審判の役割を務めるのは自然なことだろう。DMは審判として、ルールとプレイヤーの仲介役を務める。プレイヤーはDMに自分のしたいことを告げ、DMはそれがうまくいくかどうかを決める(プレイヤーにダイスをロールさせて決める場合もある)。たとえば、あるプレイヤーが自分のキャラクターに、オークめがけて武器を振り下ろさせようとした。DMは「攻撃ロールをしてください」と返答しつつ、オークのアーマー・クラスを参照することになる。
D&Dのルールは、典型的なセッションの中で発生しうるすべての状況に対応してはいない。たとえば、あるプレイヤーは燃え上がる石炭の詰まった火鉢をモンスターの顔面に投げつけようとするかもしれない。この行動の結果を判断するのは、DMである君の役目だ。君は心の中で難易度を15と決めつつ、そのプレイヤーに【筋力】判定を行なわせるかもしれない。【筋力】判定が成功したなら、顔面に熱々の石炭をぶつけられたモンスターに何が起きるのかを決めるのも君だ。そのモンスターは1d4[火]ダメージを受け、次の自分のターンの終了時まで攻撃ロールに不利を受ける、かもしれない。君はダメージ・ダイスをロールし(あるいはプレイヤーにロールさせ)、ゲームは次へ進む。
君のルールの解釈が、ゲーム内でできることの限界を示すこともある。あるプレイヤーが君に「駆け上がってこのオークを攻撃したい」と告げたが、そのキャラクターの移動速度ではオークの位置まで届かないという場合、君は「そのオークは君が移動してから攻撃するには遠すぎるよ。他にやりたいことはある?」と答える。そのプレイヤーは君の返答を元に別のプランを考えることになる。
ルール裁定を下すためには、ルールを知っている必要がある。この本や『プレイヤーズ・ハンドブック』の中身を丸暗記する必要はないが、どのルールがどのあたりに書いてあるかは覚えておくべきだ。そうすれば、ルール的な判断が必要になった時に、ルールブックのどこを見れば適切なルールが見つかるかが分かる。
ゲームを運営するための主要なルールは『プレイヤーズ・ハンドブック』に載っている。そして本書の第3部には、幅広い状況に応じてルールに手を加えるための豊富な情報がある。第8章は攻撃ロール、能力値判定、セーヴィング・スローの使い方に関するアドバイスを述べている。この章には特定のプレイ・スタイルやキャンペーン向きのオプション、たとえばミニチュアの使い方、チェイスのシーンを処理するシステム、狂気に関するルールなども載っている。新しいモンスター、種族、キャラクターの背景などのオリジナル・データを作りたいなら、第9章にやり方が書かれている。この章には、ファンタジー世界で銃火器を使うような風変わりな状況や遊び方のためのオプション・ルールも載っている。
ここまでで三部構成の紹介を掲載したが、「はじめに」には、もうひとつ大切な要素についてのパートがある。「プレイヤーを知ろう」という部分で、次回に紹介する。
※記事中の日付は記事公開時のものです。