ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版の『ダンジョンズ&ドラゴンズ ダンジョン・マスターズ・ガイド』について冒頭を掲載してきたが、今回は「はじめに」の三部構成紹介のあとに1ページ設けられた、「プレイヤーを知ろう」のパートを紹介する。
この部分の内容は、第4版ではDMGとDMG2においてスペースを割いて深められていた内容でもあり、DMのためになるのはもちろん、ほかでもRPGのセッションでマスターを担当する人には、機会があれば広く詳しく書かれた第4版の記事をご覧いただきたい。実践に関しての知識と、先人たちの「真剣にRPGを遊ぶ姿勢」に感銘を受けること間違いない。
とはいえ第5版DMGでは、「楽しくするにはこうする」という形に簡潔に述べられている。D&Dを、あるいはRPGを長く遊んでいる人には、多数の心当たりがある事柄ではないだろうか。
プレイヤーを知ろう
D&Dというゲームがうまくいくかどうかは、ゲーム・テーブルを囲む他のプレイヤーたちを楽しませる君の腕前にかかっている。プレイヤーたちの役目が、キャンペーンの主役である自分のキャラクターを作成し、そのキャラクターに命を吹きこみ、キャラクターの行動によってキャンペーンを進めてゆくことであるのに対して、君の役目はプレイヤーたちに(そして君自身に)君が作りあげた世界へ興味を持たせ没入させ続けること、そして各プレイヤーのキャラクターを活躍させることだ。そして、各プレイヤーがD&Dというゲームのどういう部分を最も楽しんでいるのか知り、それをもとにアドベンチャーを作成し運営すれば、プレイヤーたちが大いに楽しみ記憶に残るような冒険が生まれる。君のグループに参加しているプレイヤー一人一人について、以下の活動のどれが一番好きかを把握し、プレイヤーたちの好みを満足させられるようアドベンチャーに手を加えて、プレイヤーたちを夢中にさせ続けよう。
演技
演技の好きなプレイヤーは自分のキャラクターに入りこみ、キャラクターとして発言するのが好きだ。この種のプレイヤーは根っからのロールプレイヤーであり、NPCやモンスターや仲間のパーティ・メンバーとの会話を楽しむ。
演技の好きなプレイヤーを楽しませるには……
・自分のキャラクターの個性や背景を発揮する機会を与えよう。
・定期的にNPCと会話してもらおう。
・戦闘遭遇にもロールプレイの要素を加えよう。
・キャラクターの背景と関連した要素を、君のアドベンチャーに盛りこもう。
異世界体験
異世界を体験したいプレイヤーは、ファンタジー世界に待っている不思議なものごとの数々を体験したがっている。この種のプレイヤーは次の丘を越えた先に何があるのかを知りたいし、隠された手がかりや宝物を見つけるのも大好きだ。
異世界体験の好きなプレイヤーを楽しませるには……
・未知のものごとに関する手がかりを散りばめよう。
・時間をかけてあれこれ探りまわったなら、何かを見つけさせてあげよう。
・ワクワクするような環境を綿密に描写し、面白そうなマップや小道具を活用しよう。
・モンスターに秘密や文化的な背景設定を付け、それを発見したり学んだりする機会を与えよう。
しでかし
何かを“しでかす”プレイヤーは、どんな危険を伴っていようとも、できることは必ずやってみようとする。この種のプレイヤーは、退屈をもてあますぐらいなら、危険に頭から突っこみ、それがどんな結果を生もうともその結果に直面する方を選ぶ。
“しでかす”のが好きなプレイヤーを楽しませるには……
・周囲のものごとに手や口を出す機会を与えよう。
・君のアドベンチャーに、しでかし屋が手を出したくなるようなネタをちりばめよう。
・そのプレイヤーがしでかしたせいで、そのキャラクターをピンチに陥らせよう。
・そのプレイヤーと同じくらい目立ちたがりで予測不能なNPCを遭遇に登場させよう。
戦闘
ファンタジー世界での戦闘を楽しむプレイヤーは、悪党や怪物を容赦なく叩たたき殺すのが好きだ。この種のプレイヤーはいつも戦いを始める理由を探しており、慎重な判断よりも大胆なアクションを好む。
戦闘の好きなプレイヤーを楽しませるには……
・突然で予想外の戦闘遭遇をぶつけよう。
・キャラクターの攻撃や呪文が引き起こす破壊と暴力を、臨場感たっぷりに描写しよう。
・戦闘遭遇に、弱いモンスターを大量に登場させてみよう。
・社交的やりとりや探険の途中に戦闘をはさもう。
最適化
自分のキャラクターの能力を最適化しようとするプレイヤーは、レベルアップと新たな特徴と魔法のアイテムによって戦闘能力が最大効率に達するように、細心の注意を払って自分のキャラクターを組み立てていくのが好きだ。この種のプレイヤーは、自分のキャラクターの得意技を披露できる機会があれば大喜びする。
最適化の好きなプレイヤーを楽しませるには……
・新しい能力や呪文が着実に手に入るようにしよう。
・そのプレイヤーが欲しがっている魔法のアイテムを、アドベンチャーの“引き”に使おう。
・そのキャラクターが活躍できそうな遭遇を考えよう。
・非戦闘遭遇でも、経験点のような目に見える報酬を与えよう。
問題解決
謎や問題を解決するのが好きなプレイヤーは、NPCの動機を見破ったり、悪党の陰謀を打ち破ったり、パズルを解いたり、計画を立てたりするのを楽しむ。
問題解決の好きなプレイヤーを楽しませるには……
・問題解決に重点を置いた遭遇をアドベンチャーに組みこもう。
・計画を立て戦術を考えたことに対するほうびとして、ゲーム内での利益を与えよう。
・時にはうまい計画によって戦闘がプレイヤーたちの楽勝で終わるようにしよう。
・複雑な動機を抱えたNPCを登場させよう。
物語
物語の好きなプレイヤーは、みんなでお話を作っていく過程に自分も大きく貢献したいと思っている。自分のキャラクターが物語の展開に深く関わっていくのが好きで、話の大筋に関連した、話を大きく前に進めるような遭遇を楽しむ。
物語の好きなプレイヤーを楽しませるには……
・キャンペーンの物語を組み立てる際に、そのキャラクターの背景も使ってみよう。
・遭遇の結果、物語が何らかのかたちで前に進むようにしておこう。
・キャラクターの行動が将来の出来事に変化をもたらすようにしよう。
・NPCに“尊ぶもの”、“関わり深いもの”、“弱味”を持たせ、冒険者たちがそれらを利用できるようにしよう。
※記事中の日付は記事公開時のものです。