コア・ルールの三冊目、『ダンジョンズ&ドラゴンズ ダンジョン・マスターズ・ガイド』は、大きく三部構成である。前回の前段に続き、その三部構成の紹介を見ていただこう。
第一部は、D&Dのプレイはもちろん、剣と魔法が冒険の軸となる舞台 ―― 世界、地域、国家、都市、それらのおおまかな歴史と戦争、勢力と組織、言葉について等々、ワールド・クリエイターが座右に置くにふさわしい内容である。
第1部:世界の管理者
すべてのDMは、自分独自のキャンペーン世界の創造主だ。世界を1から作り上げるのであれ、好きな映画や小説の世界を改造するのであれ、D&D用の既存の世界設定を使うのであれ、その世界はキャンペーンを通じて君の世界になってゆく。君のキャンペーンの舞台となる世界は、D&Dの多元宇宙 ―― 数多の冒険が起きる、数多の次元界や世界の大規模な集合体 ―― を構成する無数の世界の1つだ。君がフォーゴトン・レルムのような既存の世界を使っている場合でも、君のキャンペーンの舞台となる世界は、小説やゲーム製品やデジタル・ゲームの舞台である公式世界とは別の、平行世界とでも呼ぶべき場所だ。君の世界は君のものであり、君がふさわしいと思うとおりに改変し、プレイヤーの行動の結果に応じて変化していく世界なのだ。
君の世界は単なるアドベンチャーの“背景”以上のものだ。『指輪物語/ロード・オブ・ザ・リング』の中つ国、『氷と炎の歌/ゲーム・オブ・スローンズ』のウェスタロス、その他の無数のファンタジー世界と同様に、君は日常を離れてその世界に向かい、そこで展開されるファンタジー物語の目撃者になることができる。うまくデザインされうまく運営される世界は冒険者たちの周囲を流れているように見えるので、冒険者たちは外から世界を眺めるのではなく、自分たちもその世界の一部だと感じられるようになる。
架空の世界をもっともらしく見せるには、継続性が重要だ。物資の補充に町まで戻った冒険者たちは、前に会ったのと同じノンプレイヤー・キャラクター(NPC)たちと出会うべきだ。間もなく冒険者たちは宿屋の主人の名前を覚え、主人もまた冒険者たちのことを覚えるだろう。いったんこの程度の継続性を作り上げた後は、ときどき変化を加えるのもいい。たとえば、冒険者たちが追加の馬を買うために再び家畜商を訪れると、以前その店を運営していた男は丘向こうの大都市にある自宅に帰っており、今はその男の姪めいが家業を切り盛りしている。アドベンチャーと直接的な関係はないが、冒険者たちが必ず気付くような、こういった変化を見せることで、プレイヤーたちに“自分のキャラクターは生きた世界の一部であり、キャラクターが変化すれば世界にも変化が生じるのだ”と感じさせることができる。
本書の第1部は、最初から最後まで、君の世界を創造するためのものだ。第1章には、君がどのような種類のゲームを運営したいのかという質問と、君の世界およびそこで起きる重大事件に関するいくつかの重要事項を決めるための手引きがある。第2章は、多元宇宙の大規模構造の中に君の世界を位置づけるための手引きだ。この章は、『プレイヤーズ・ハンドブック』で述べられていた、次元界や神々に関する情報をより詳しく説明し、君のキャンペーンに適した次元界や神々の設定のしかたを述べている。
次回は「はじめに」から、第2部:冒険の
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