北欧神話のロキといえば、主神オーディンや雷神トールと並んで有名な神のひとりでしょう。
いたずら好きでずる賢いロキの性格から、ゲームやアニメなどに癖のあるキャラクターとして登場することも多いですよね。
しかし、そもそもロキとはどのような神か、みなさんご存知ですか？
今回は『図解 北欧神話』(池上良太 著)から、ロキに関する情報をお届けします。
目次
神々の世界でも異端児？ 悪魔とも称されるロキの性格
奸智と悪意の神、悪神などと呼ばれているロキは、両性具有の存在で自由自在に姿を変える能力を持っています。その外見は立派で美しいとされていますが、性格はひねくれて気まぐれ。巨人族でありながら、敵対するアース神族の長オーディンの義兄弟として神々の中に身を置いています。悪知恵にかけては誰にも引けを取らず、何事をするにも狡猾に立ち回りました。
様々な恩恵と大きな災厄をもたらすといわれるロキですが、彼が神々に不利益をもたらすのは、たいてい巨人に脅迫された末のことでした。また、その悪知恵によって神々の窮地を救ったことも少なくありません。
さらにほかの神々が大切にしていた宝物の多くは、ロキが悪戯の賠償としてドヴェルグ(小人族)の職人に作らせ、贈ったものでした。
ロキの行いは基本的に、自己保身のための行為、好奇心からの失敗、純然たる悪意からの行動の3つに分けられます。賭けに負けて屁理屈をこねるという子供っぽい一面もあり、それが原因で口を縫いとめられてしまいました。
こうして考えると、ロキは必ずしも邪悪な存在とは言い切れないかもしれませんね。
悪戯、悪口、悪事！ ロキとほかの神々とのエピソード
ロキはほかの神々との関わりも多いのですが、あまり友好的なものではなかったようです。雷神トールの旅のお供として最も多く同行したのはロキですが、ふたりの仲が良かったわけではありません。その証拠に、悪戯でトールの妻シヴの金髪を丸刈りにしてしまったことがあり、トールから脅迫されてドヴェルグに見事な金髪のかつらを作らせたというエピソードが残っています。
神々の番人であるヘイムッダルとは犬猿の仲だったり、平和を愛する詩の神ブラギに対して「椅子の飾り」など散々な悪口を言ったり、争いを好まない豊穣の神フレイの従者を痛烈に罵倒したりしています。永遠の若さのリンゴを管理する女神イズン(ブラギの妻)はロキに騙され、巨人に攫われたことさえあるのです。ロキにとって、あくまでこれらは悪戯の範疇でした。
しかし、オーディンの息子バルドルの殺害に関わって以来、急激に神々への敵意をむき出しにするようになります。
皆から愛されていたバルドルを救うため、神々が死者の女王ヘルの元へ使者を送りますが、ロキによって邪魔をされ果たされませんでした。
その後、ロキは海神エーギルの催した宴会で神々を非難した末に、彼らの前から姿を消します。
もう許すことができなくなったオーディンはロキの隠れ家を見つけだし、ロキと子供たちを捕まえました。毒蛇の毒が顔に滴る拷問を施したうえで、世界の終末までロキを地下に幽閉してしまいます。
最終戦争ラグナロクが起こると解放されますが、長年いがみ合っていたヘイムッダルとの戦いの末、両者共に命を落とすのでした。
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ロキの子供は巨大な狼！ 規格外れな狼フェンリル
ロキには何人か子供がいますが、ここではフローズルスヴィトニルとも呼ばれる、巨狼フェンリルについて取り上げます。フェンリルは、ロキと女巨人アングルボザの間に生まれました。上顎が天の端に、下顎が大地に届くほどの巨体を誇り、鼻や口からは炎と煙が噴出しているといいます。
大蛇ヨルムンガンドや冥界の女王ヘルとは兄妹であり、フェンリルを含めたこの３兄妹が将来神々を害すると予言されたため、幼かったフェンリルを除いてふたりは神々の世界アースガルズから放逐されてしまいます。
日増しに大きくなるフェンリルを恐れた神々は、フェンリルを欺いてグレイプニルと呼ばれる魔法の紐で縛り上げ岩に固定してしまいます。さらに、口を閉じられないよう剣が刺し込まれ、フェンリルの口から流れ出た大量のよだれはヴォーンと呼ばれる川になりました。
フェンリルは最終戦争ラグナロクの幕開けと共に解放されて主神オーディンを飲み込むも、オーディンの息子ヴィーザルによって顎を引き裂かれ倒されてしまいます。
以上、ロキとロキの子供フェンリルについてご紹介しました。
北欧神話の中で、ロキほど場をかき回して秩序を乱す者はいません。さらに、神とはいえ悪さをしてはお詫びの宝物を寄越すあたり、人間味があるように感じますね。
上記以外にも、彼に関する逸話は数多くあります。ロキの活躍を調べてみてはいかがでしょうか。
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