TRPGのプレイヤーさんの中には、聖職者になり、仲間と冒険に出なければならない時があるかもしれません。冒険に備え、自分の代わりとなるキャラクターですから、デザインを考えておきたいと思う方もいると思います。
今回は『図解 中世の歴史』(池上正太 著)を参考に、中世の聖職者の服装がどのようなものだったのかをご紹介します。 聖職者のキャラクター描写に困っている方も必見です。
目次
聖職者とは? 彼らの起源と仕事内容
はじめに、聖職者とはどのような仕事をしていた人々だったのか簡単に紹介していきます。聖職者は、教会に仕えることを選んだ人々の総称であり、教会の様々な庶務を行い、民衆を正しい生活へ導く役割を持つ人のことです。
仕事内容としては、ミサで平和を祈る、懺悔や結婚、埋葬や洗礼を執り行うなどの宗教活動、教会の管理や、信徒の指導を行う司牧、奉仕活動などがありました。
聖職者の起源は、キリスト12使徒にまで遡ります。キリストを裏切ったイスカリオテのユダが有名でしょうか。キリストにより使徒に任命されていた彼らは指導者となり、その権威をもって後継者を任命していきました。2世紀頃には、すでに聖職者と一般信徒の区分は明確になっていて、4世紀に入ると、ローマ皇帝コンスタンチヌスによって、特権階級として聖職者が確立します。
長い歴史を持つ聖職者の服装は、更に時が経った中世でも、ローマ帝国やビザンツの当時の服装を受け継いだ古式ゆかしいものでした。
神とその使徒を理想とした、聖職者の衣服
中世の聖職者の服装は、基本的に長くゆったりとした衣で、その上にさまざまな付属品を重ねていました。今回は、聖職者の役職のひとつである司祭、司教の服装を紹介します。
司祭は、くるぶしまで覆う丈の長いチュニックの上に、小さなマントのような肩衣を着て、更にその上から腿の辺りまですっぽりと覆うマントを着ます。
更に付属品として、肩から現代のストールのような帯を下げ、腕にはマフラーに似た長方形の布をかけます。
これらの服装には、付属品にも名称がついており、内着であるチュニックを「アルバ」、肩衣を「アミクトゥス」、マントを「カズラ」、首から下げる帯と「ストラ」、腕にかける布を「マニプルス」と呼んでいます。
司祭よりも階級が上である司教は、更に衣や付属品が施されます。
内着であるアルバとアミクトゥスの上から、袖のゆったりとした上着の「ダルマティカ」を着て、司祭と同じくカズラを着用し、肩にストラをかけて、腕にマニプルスを下げます。
そして頭には司教の証である帽子「ミトラ」をかぶり、最後に手に司祭杖を持ちます。
教皇となれば、更に教皇のための肩衣であるファノネなどが加わり……と聖職者の役職は服装と付属品の数で分かりました。
自分の作ったキャラクターが、聖職者の中でもどのような階級・役職かを考えて着せてみると更にTRPGや作品の世界観にのめりこむことができるかもしれませんね。
◎関連記事
神聖のシンボル! 巫女さんの装束ってどんな衣装?
礼拝堂から大聖堂まで 中世の宗教施設はこんな場所
本書で紹介している明日使える知識
- 教会と修道院の暮らし
- 教会と修道院の施設
- 農村の衣服
- 都市の衣服
- 城の衣服
- etc...