小説やアニメ、TRPGなど多岐にわたるジャンルで活躍するクトゥルフ神話生物「ニャルラトホテプ」。みなさんも一度は耳にしたことのある名前ではないでしょうか。
名前を聞いたことがあるだけで、どんな神様なのか分からない。でも今更誰かに聞くのも……と困っている方に、今回は『図解 クトゥルフ神話』(森瀬繚 著)を参考に、ニャルラトホテプが持つ「貌」の一部分をご紹介します。
目次
クトゥルフ神話界のトリックスターニャルラトホテプ
クトゥルフ神話とは、私たち一般人の目にとまることのなかった暗黒神話体系を、怪奇幻想作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトと、彼と交流していた作家達が作品の題材に用いたことで、長い時間をかけて世界に広まっていった神話です。ニャルラトホテプは、その神話の中で、狂気に満ちた宇宙の創造主である神「アザトース」を筆頭とする「外なる神」の使者として、外なる神の意思に従い、あらゆる時空に現れ、人々や歴史に干渉をする創造主の代行者として任務の遂行をしています。
任務を遂行する際、ニャルラトホテプは、その邪な目的のためならば、時折、人間の姿に変身して人前に姿を現すこともあります。
こういった人間との接触や、神に使役される立場にありながら仕える主人にさえも嘲笑を向ける掴み所のない態度など、クトゥルフ神話の神様の中でも特別な立場にいるとしてトリックスターともいわれています。
また、ニャルラトホテプが変身できるのは、人間の姿だけではありません。
「這い寄る混沌」「無貌の神」「膨れ女」「闇に吼えるもの」――これらは全てニャルラトホテプを指す名称です。ニャルラトホテプは、「千の顔を持つ者」として、数多の化身をもって人間の前に現れるのです。
這い寄る混沌、ニャルラトホテプの持つ千の顔とは
それでは、ニャルラトホテプはどのような姿で人間の前に現れたのでしょうか。邪なる神々が公然と崇拝され、古代エジプトの歴史上からその存在を抹消されたネフレン=カの治世においては、鋭く尖った鉤爪に禿鷹の翼とハイエナの胴体を持つ、三重冠を被った顔のないスフィンクスの姿で知られていたそうです。
エジプト最古の魔神であるニャルラトホテプは、黒い使者とも呼ばれる復活の神であり、この世の終末が近づいた時、黒い肌をした顔のない男の姿をとって出現し、古の死せる者たちを蘇らせるのだとも言い伝えられています。
他にも、身体は女性のものですが、顔は鼻が象のように長く、腕は触手のようになっている「膨れ女」という姿も見せています。
人間の姿では、魔女たちの集会サバトに現れて魔女を導くという「暗黒の男」や、ロサンゼルスで人間の秘密結社「星の智慧派」を復活させたナイ神父、核物理学者のアンブローズ・デクスター博士などがニャルラトホテプの化身だったのではないかと疑われています。
ニャルラトホテプは、神からの任務を行う使者としての立場や、人と接触することが可能な神と言う特性から、多くのジャンルや作品で活躍しているのかもしれません。
今回紹介できたことは、ニャルラトホテプのほんの一部分でしかありません。 是非、本著や原作小説などで、ニャルラトホテプが展開するコズミック・ホラーを自分の目で確かめてみてください。
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