アスガルド、世界樹ユグドラシル、ニヴルヘイムといった名前を聞いたことはありませんか? ゲームや映画などでおなじみのこれらの名称は、実は全て北欧神話からきています。 『図解 北欧神話』(池上良太 著)では、ファンタジーの世界観として用いられることの多い北欧神話のあらすじや、登場人物、アイテムなどを文章と図解で解説しています。今回はその中から、神々の住まう世界アスガルド(アースガルズ)と、その外に広がる世界についてご紹介します。
目次
アース神族の住むきらびやかな世界アスガルド
アスガルド(アースガルズ)は大いなる神々アース神族の住む世界です。人間の住む大地の中央にあり、高い城壁で囲まれた砦のような場所になっています。そのためアスガルドの中に入るには、虹の橋ビフレストを渡るか空を飛ぶしかありません。ビフレストの袂に建てられたヒミンビョルグという館では、人類の先祖ヘイムッダルがアスガルドの門番をしています。彼は最終戦争ラグナロクの際にはギャラルホルンと呼ばれる角笛を吹き鳴らすとされています。さて、アスガルドの中をご案内しましょう。 アスガルドの中心にはイザヴェルという名の広場があります。そこには男性の神々が集う神殿グラズヘイムや、女性の神々が集まる美しい神殿ヴィーンゴールヴがあり、これらの建物や家財道具は全て黄金でできていました。 グラズヘイムの敷地内には、北欧神話の主神オーディンの宮殿ヴァルハラも建てられています。ここは、戦死した人間の勇士たちが来たるべき最終戦争ラグナロクに備えて戦闘訓練を行う重要な場所です。
この他、アスガルドには銀で覆われたオーディンの館や、540もの広間がある雷神トールの館、豊穣の女神フレイヤの館などがあります。 また、アスガルドの一角には世界樹ユグドラシルの根が伸びていて、そこにはウルズという泉もありました。この泉のほとりには運命の女神ノルンたちの住む館や、神々の集会所などが設けられています。神々はここで世界の様々な出来事に裁きを下すのです。
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9つの世界とユグドラシル アスガルドの外の世界とは
今度は視線を転じて、アスガルドの外の世界についてもご案内しましょう。アスガルドから続く虹の橋ビフレストは、人間の世界ミッドガルド(ミスガルズ)と結ばれています。その外の北側、もしくは東側の海岸線には、巨人の住む世界ヨトゥンヘイム、さらにその外側には深い海が広がっていると考えられていました。
北欧神話では、宇宙は合計9つの世界から構成されているといいます。最も北方に位置するのは極寒の世界ニヴルヘイムと死者の国ニヴルヘルで、反対に南方に存在している世界が灼熱の国ムスペッルスヘイム、そして両者の中間にあるのが先程ご紹介したアスガルドやミッドガルド、ヨトゥンヘイムといった世界です。
これらの他に、ヴァン神族が住むヴァナヘイム、リョースアールヴ(白妖精)の住むアールヴヘイム、デックアールヴ(黒妖精)が住むスヴァルトアールヴヘイムという世界も存在しますが、これら3つの世界は宇宙のどこにあるのかはっきりしていません。
一説によると、これら合計9つの世界は世界樹ユグドラシルによって支えられているのだといいます。ユグドラシルは9つの世界に木陰を投げかけ、世界中にその根を伸ばしている巨木です。その葉はいつも青々と茂っており、周辺には鷲や4匹の牡鹿、有翼の黒龍ニーズホッグなど様々な動物たちが棲んでいるとされていました。
9つの世界と世界樹ユグドラシルの上には、原初の巨人ユミルの頭蓋骨で作られた天があります。天では太陽と月を結ぶ馬車が、狼に追われながら走っているといいます。
北欧神話の世界観を駆け足でご紹介してまいりました。北欧神話では、アスガルドを中心としたこれらの世界で、主神オーディンや雷神トール、悪神ロキといった様々な神々や巨人が戦いを繰り広げるのです。
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