ブルジョアのみなさん、こんにちは。心だけブルジョアの同志のみなさんも、こんにちは。
人はいつセレブになるかわかりません。今回はそんなときのために、知っておきたい上流階級の住まいのお話。
『図解 メイド』(池上良太 著)より、田舎屋敷(カウントリーハウス)と町屋敷(タウンハウス)についてご紹介します。とくにセレブ予備軍のわれわれにとっては、今のうちにしっかりと頭に入れておかなければならない知識です。
目次
権力の象徴!「田舎屋敷(カントリーハウス)」
セレブ生活を考えるとき、まずは住まいと、その原点も知らなければなりません。時代はヴィクトリア朝まで遡ります。
「田舎屋敷(カントリーハウス)」をご存じですか?
上流階級の人々にとっての、メインの生活の場です。
定義自体は様々ですが、周囲に広い地所があって、それにより所有者の生活が保障されるものでなければ田舎屋敷とは呼べませんでした。
田舎屋敷は権力の象徴ですから、権力者はもちろん、当時のわれわれセレブ予備軍のような人々がこぞって求めたといいます。
もちろんゴージャスそのもので、平均的に30~50、多いものでは、365もの部屋があり、使用目的によって区画がわかれていました。
内装品も贅を凝らしたものが多く、その生活を維持するために大勢の使用人が必要だったようです。
【一般的な田舎屋敷の構造】
3階(家族用):
子供部屋、勉強部屋など
2階(家族用):
雇用主の寝室、女主人の寝室、書斎など
1階(公共用):
ホール、大階段、食堂、客間、ギャラリーなど
地下(使用人用):
台所、洗濯場、各種貯蔵庫、使用人ホール、家政婦部屋など
以上は、あくまで形式的なものです。実際のレイアウトは、主の趣味によって千差万別です。
古い田舎屋敷は、使用人区画が地上に設けられていることもあります。
また厩舎や、洗濯場が離れになっている場合も多いのです。
さらに、大規模な邸宅であれば、様々な雑用が行われる「オフィス」と呼ばれる区画が設けられることがありました。
これらの構造は、それぞれの区画の人々が、 必要以上に顔を合わせなくていいよう配慮がされた結果です。
ロンドンセレブの別宅!「町屋敷(タウンハウス)」
「町屋敷(タウンハウス)」は、上流階級の人々が、社交界シーズンを過ごすためにロンドンに作る邸宅のことです。大抵はロンドンの西側、ウェスト・ロンドンに建てられて、貧民層の広がる東側のイースト・エンドとは対象的な様子だったようです。
この町屋敷も、カントリーハウスに負けず劣らずゴージャスでした。
現在のバッキンガム宮殿も、元々は古いタウンハウスを改装したものといえば、われわれセレブ予備軍でもピンとくるのではないでしょうか。
ロンドンでは使用できる面積が制限されるため、町屋敷を建てるときは、垂直方向に広くなっていきました。
つまり、広い面積を持つ田舎屋敷とは対照的に、高層化していたのです。
【一般的な町屋敷の構造】
最上階の屋根裏部屋(使用人用):
男性使用人の寝室
4階(家族用):
育児室、子供部屋
3階(主用):
主人と女主人の寝室
2階(来客用):
客間 1階(家族用):
食堂、居間
地下(使用人用):
台所、女性使用人の寝室、洗濯室、各種貯蔵庫、使用人ホールなど
町屋敷でも、使用人たちの区画は切り離されていました。使用人は専用の出入り口と階段を通り、家族や訪問客と顔を合わすことがないように作られていたようです。
また、広めの中庭は地下の台所から覗くことができました。使用人たちは、そこで行われるパーティの様子を眺めていることもあったといいます。
期間限定で使用する町屋敷ですが、常駐の使用人がいました。
長期間放置された家を人が住める状態に戻すには、非常に時間と手間がかかります。そのために、家の管理を行う使用人が食費込みで雇われていたのです。
また貴重な家具や食器などもあるので、管理する人が必要不可欠だったのです。
雇う側もわかっていたい! お屋敷生活の退屈な気持ち
どちらのお屋敷もきっちりと区画わけされていたために、使用人を一切目にしない雇い主たちもいたようです。しかし将来ハウスキーパーを雇うことになるであろうわれわれセレブ予備軍としては、使用人たちにも優しい優良雇い主を目指したいですよね。
そこで知っておきたいのが、彼らの気持ちです。
田舎屋敷は田舎にありますから、そこで働く使用人にとっては閉鎖的で退屈な日々でした。
それゆえに、社交界シーズンになるとタウンハウスに随行させられることは彼らにとって密かな楽しみだったようです。きっと町への移動は旅行にも似た開放感があったのでしょう。
また田舎屋敷での生活に退屈するのは、なにも使用人だけではありませんでした。
男性のように狩猟などの楽しみがなかった女性たちにとっても、田舎暮らしの退屈さは耐えがたいものであったようです。
そのため、田舎屋敷ではハウス・パーティが頻繁に開催されたといいます。
出費は決して安くはありませんが、縁談を纏めたり、政治的な話し合いをしたりとメリットはたくさんありました。 客人との楽しいひと時と過ごすことができるのは、おしゃべり好きが多い女性にとっては最高の時間だったのではないでしょうか。
たとえば、誰かの誕生日サプライズをする準備は慌ただしくも楽しいですよね。
そういう目まぐるしいパーティ準備の忙しさも、女主人たちを退屈から救ってくれたのです。
以上、ヴィクトリア朝時代のお屋敷についてご紹介しました。 明日のセレブ生活の参考になりましたでしょうか?
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ライターからひとこと
主人と使用人が一切顔を合わせることができない構造は、一見冷たく感じられるかもしれませんが、 もしかすると使用人にとっては気楽でよかったかもしれません。好き嫌いなどの私情を挟むことなく、仕事を淡々とこなしていけそうです。しかし、身分違いのアバンチュールの機会が少なくなるのも淋しいものです。だからこそ、ちょっとだけ会えたりするとものすごく燃え上がるのかもしれませんね。
本書にはメイドを中心に、様々なセレブ生活に役立つ情報が掲載されています。ぜひ参考にしてみてください。