2017年7月30日、都内某所――。
パンタポルタのマスコットキャラクターであるぱん太は、コストマリー事務局様が主催した「中世料理勉強会~修道院編~」に参加させていただきました。
無念にも当日参加できなかった皆さまに向けて、勉強会の内容から、実際に試食をしてみた感想まで、イベントの様子を余すところなくお届けします!
◎中世料理勉強会ってなんだろう?
今に伝わる中世西欧時代のレシピを参考にしながら、当時の人々の暮らしぶりを学ぼうという会……それが、中世料理勉強会だよ。
ただ勉強するだけじゃなくて、みんなで自由に意見を交換しつつ、実際に中世時代の料理を試食できちゃうスペシャルなイベントなんだ。
今年の1月に開催し大盛況のうちに幕を閉じた「宮廷編」に加えて、今回は、イングランド・フランスを中心とした修道院の食生活を学ぶ「修道院編」が仲間入り。
この記事では、ぱん太が参加した修道院編の様子をみんなにお伝えするよ。
◇
参加者はパンダという異存在を除けば、全員女性!
主催の鳳花さんいわく、中世料理系イベントの参加者はそろって女性ばかりなんだって。会の雰囲気はやわらかく、ほとんどの人が初参加だから、男性も女性もパンダも参入しやすいと思うな。
勉強会と銘打つとおり、まずは鳳花さんの用意してくれたレジュメを参考にしながら、中世に存在していた主な修道院を知るところからスタート。
ところで、みんなは中世修道院の生活について、どんなイメージを持っているかな?
色のない堅牢な建物の中で、俗世から離れて慎ましく暮らしている……おおむね、ボクの印象はこんな感じだったよ。
だけど、始まって5分も経たないうちに、このイメージはまるっきり覆されてしまったんだ。
「実は、後期の修道院の人たちは、意外に多くの種類の料理やワインなども嗜んでいたんですよ」
ざわざわする参加者に対して、鳳花さんはさらに詳しい修道院の生活ぶりを話してくれたよ。
▽ベネディクト修道会
みんなのイメージする修道院に一番近い暮らしをしていたのが、このベネディクト修道会じゃないかな。
清貧・従順・貞潔・定住という、いわゆる禁欲生活を美徳としていて、「労働」と「祈り」を行いながらみんなで共同生活を送っているのが特徴だよ。真っ黒なローブも彼らのシンボル。
ベネディクト修道会は非常に古い組織のため、食事に関する資料もほとんど残されてないんだって。
分かっているのは、食事の内容もパンや魚がメインだったということくらい。
2~3月頃になると、「四旬節(レント)」と呼ばれる時期がやってきて、彼らにとっては憂鬱な期間……断食が始まるのさ。
と言っても、まったく何も口にしないわけじゃなくて、肉や卵、乳製品を食べることが禁止されていたんだ。それでも相当なストレスだったみたい。
▽クリュニー修道会
そのあと、11世紀頃に設立されたのがクリュニー修道会。
先ほどのベネディクト修道会とは打って変わって、国王や伯などの世俗権力と関わりをもっていて、教皇の直接保護を受けた裕福な修道会なんだ。
ところで、料理につかわれる動物っていうと、何がいるかな?
豚・牛・鶏といった普段ボクたちの食卓に並ぶような動物が思い浮かぶよね。実は、この中でも鶏肉だけは、例外的に食べても良いことになっていたみたい。
牛や豚などの家畜と区別して、食べても良いことになっていたんだね。
さて、鶏では飽きたらず豚や牛にまで手を伸ばしていたクリュニー修道会なんだけど、寝る前にはワインも嗜んでいたと言うから、業が深いよね。
彼らの食事の基本構成はこんな感じだよ。
・温かい料理 2品
・ジェネラル(火・木・金・土)→卵orチーズ
・ピタンス(日・木)→魚メイン
・パン 約350~450g
・ワイン 1.5杯 (約300cc)
「パンの量はさすがに多すぎでしょ~」と鳳花さんは笑っていたけど、パン抜きにしてもけっこう豪勢な食事だね!
しかも彼らは中間管理職のような仕事をしていたから、指示を出すばかりで肉体労働はほとんどしなかったんだ。よく絵画で目にするふくよかな修道士の姿は、意外と写実的なものかもしれないね。
おまけに、クリュニー修道会は「クリュニー修道院」というたいそう立派な聖堂までつくっていて(ノートルダム大聖堂の約1.5倍の長さ!)、ここまでくると贅の限りを尽くした生活と言っても過言じゃないと思うな。
▽シト―修道会
最後に紹介するのは、クリュニー会派の華美なスタイルに反発してつくられた正統派、シト―修道会だよ。
彼らは原点回帰を目指し、ベネディクト修道会の規律を遵守して自給自足の生活を送ったのさ。
みんなは「施療院」って聞いたことがあるかな?
詳しくはこの記事を見てもらうとして、簡単に言うと修道院が運営している病院のことなんだ。
この施療院の人たちは、修道院に暮らす人々よりもちょっとだけ良いものを食べていたそうだよ。
今回、鳳花さんが作ってきてくれた料理のいくつかは、施療院で療養している人が食べたと思われる食事をできるところまで再現したものみたいだよ。
う~ん、どんな味がするのかな?
気になる試食の感想は後編でお届けするよ!
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